築年数だけでは、家の値下がりは説明できません
「築20年を過ぎたから、建物の価値はゼロ」。そう説明されても、年数だけで納得する必要はありません。国土交通省は2014年、中古戸建てを一律に築20〜25年で評価ゼロとする慣行の改善指針を示しました。
指針では、維持管理やリフォームを評価に反映する考え方を示しています。築年数は判断材料ですが、家の状態を調べる代わりにはなりません。出典:国土交通省・建物評価の改善に向けた指針。
この記事では、価格を左右する7つの要因と、売却前に確認する順番を整理します。
7つの要因を「地域」と「建物」に分けます
下がった理由を探すなら、近所も下がっているのか、自宅だけなのかを分けます。同じ駅でも面積や築年数が違えば、価格差の意味は変わります。
| 要因 | 確認するもの |
|---|---|
| 築年数 | 年数と、劣化・修繕の状態 |
| 人口・世帯の変化 | 自治体の人口と世帯数の推移 |
| 駅距離・利便性 | 交通手段、買い物や通学の条件 |
| 周辺環境 | 店舗の撤退、道路や建築の計画 |
| 管理状態 | 修繕履歴、積立金、長期修繕計画 |
| 金利 | 買い手が利用するローンの返済負担 |
| 災害リスク | 自治体のハザードマップと被災履歴 |
だから、査定会社には「比較した成約事例と、自宅との差」を聞きます。売出価格は売主の希望であり、成約価格とは別です。成約価格で相場を調べる方法も判断に使えます。
土地と建物を分けると、下落の中身が見えます
仮に3,500万円の戸建が、土地2,000万円・建物1,500万円だったとします。その後、土地が同額で建物が500万円と評価されたなら、合計は2,500万円です。
差額は1,000万円、購入時より約28.6%低い計算です。ただしこれは仕組みを示す仮定で、築年数ごとの下落率ではありません。
| 比較する仮定 | 土地+建物=合計 |
|---|---|
| 購入時 | 2,000万円+1,500万円=3,500万円 |
| 土地は横ばい・建物を500万円と評価 | 2,000万円+500万円=2,500万円 |
| 土地も2割下落・建物を500万円と評価 | 1,600万円+500万円=2,100万円 |
つまり、土地の比率が高くても、土地相場が下がれば影響を受けます。税務上の耐用年数、建物の寿命、実際に売れる価格も同じ意味ではありません。
人口や金利のニュースを、自宅の値段に直結させません
全国の人口見通しだけで、一軒の家の価格は決まりません。国の将来推計人口も、出生や移動などの仮定に基づく複数の推計です。
そこで地域を見るときは、人口に加えて世帯数や交通の変化を確かめます。人口減少だけを理由に、今すぐ売ると決めるのは早計です。
新規の借入条件を比べるなら、借入額・返済期間・返済方法が同じ場合、適用金利が高いほど返済負担は増えます。ただし、それだけで売買価格の下落幅は決まりません。収入や物件供給、地域の需要も関わるからです。
駅近や生活施設の充実も、価格維持の保証ではありません。「徒歩10分以内なら下がらない」と線を引かず、条件の近い成約事例で確かめます。
管理の良さは、記録を見せて伝えます
戸建なら屋根・外壁・給排水設備の修繕日と工事内容を整理します。マンションなら長期修繕計画、積立金の状況、大規模修繕の履歴を確認します。
というのも「きれいに使った」という説明だけでは、買い手は見えない部分を判断できないからです。見積書より、実施した工事の記録や保証書を優先します。
ただし、売る前の高額なリフォーム費用を回収できるとは限りません。まず現状での査定と、補修した場合の見込みを分けてもらい、差額と支出を比べます。
【注意】管理だけで、周辺相場や災害リスクは消せません
2020年8月28日から、水防法に基づく水害ハザードマップ上の所在地は重要事項説明の対象です。出典:国土交通省・水害リスク情報の説明義務化。
ただし、区域外なら水害リスクがないという意味ではありません。自治体の最新の地図で確かめ、過去の被災や補修も整理します。個別の説明内容は宅建業者に確認してください。
下落要因が2つあれば売る、といった一律の基準もありません。売却期限がある人は期限から逆算し、急がない人は管理費用と住み続ける利点を比較します。
価格の理由は、年数より比較資料で確かめる。
今日できるのは、修繕記録を集めることと、査定の比較事例を尋ねることです。続けて読むなら、不動産の売り時の考え方です。
よくある質問
Q. 資産価値は年に何%下がりますか?
全国の家に使える一定率はありません。地域の相場と建物の状態を分け、条件が近い取引で比較します。
Q. リフォームすれば価格は上がりますか?
評価につながる場合はありますが、工事費と値上がり額は同じではありません。売却のためなら工事前に相談します。
Q. 築40年を超えたら売れませんか?
年数だけでは決まりません。建物の状態、土地の需要、再建築の条件や融資の利用可否を確認します。

