「最新の発表」と「今の相場」は同じではありません
「全国の価格が高いなら、わが家も今が売り時」。そう判断する前に、統計の対象月を確かめてください。発表された日と、実際に取引された時期にはずれがあります。
2026年10月25日確認時点で、国交省は不動産価格指数の公表延期を案内しています。9月28日付のお知らせでは、算出プログラムの不具合を理由に、2026年1〜6月分などの公表延期を説明しています。
だから、過去の指数を「2026年の足元の価格」と読み替えることはできません。ここでは全国の値上がり・値下がりを断言せず、売り時を決める読み方を整理します。
出典:国土交通省・不動産価格指数。
売出価格と成約価格を分けて比べます
ポータルサイトで目にする価格は、売主の希望を含む売出価格です。実際に契約がまとまった成約価格とは分けて考えます。
地域の統計を使う場合も、対象範囲を確かめます。首都圏の中古マンションの結果を、地方都市の戸建てや全国の相場として使うことはできません。
| 確認する数字 | 売主が読み取ること |
|---|---|
| 近隣の成約価格 | 条件が近い住宅で、買主が実際に合意した水準 |
| 現在の売出価格 | これから比較される競合物件の希望額 |
| 成約件数・在庫件数 | 同じ地域・物件種別での取引と売り物の動き |
とはいえ、平均価格が上がっても、同じ家が値上がりしたとは限りません。広い住戸や高額地域の取引が増えるだけでも平均は動きます。面積・築年数・駅距離も合わせて比較します。
価格差は不動産価格が下がる要因も参考になります。
金利は買主の返済額を通して考えます
日本銀行は2026年9月18日、短期の政策金利を1.25%程度へ変更すると決定しました。適用は9月24日からです。
ただし、これは住宅ローンの適用金利そのものではありません。各商品の金利や見直し時期、借りる人の条件は別に確認します。
出典:日本銀行・金融市場調節方針の変更。
たとえば、毎月13万円を35年間返す仮定ならどうでしょう。元利均等・ボーナス返済なし・金利が全期間一定として計算します。
| 仮定した年利 | 毎月13万円に対応する借入元本 |
|---|---|
| 0.7% | 約4,841万円 |
| 1.2% | 約4,457万円 |
| 差額 | 約384万円 |
つまり、同じ返済額でも金利によって元本は変わります。これは審査で借りられる上限でも、将来の金利予測でもありません。金利だけから自宅の値下がり率を逆算することもできません。
待つ費用と値上がりの期待を並べます
「半年待てば高く売れるか」だけでなく、待つ間の持ち出しも並べます。空き家なら管理費用、住み替えなら二重の住居費など、実際に増える費用が対象です。
仮に待つことで毎月3万円の追加負担が出るなら、半年で18万円です。売値が10万円上がっても、費用差だけで8万円下回ります。税金などを省いた比較例で、相場の予測ではありません。
一方、今も住んでいて売却後に家賃が発生するなら、待つ方が負担を抑えられる場合もあります。売却代金だけでなく、その後の住居費まで同じ期間で比べます。
だから、売却手取り計算で費用を整理し、売る場合と待つ場合の家計表を作ってみてください。
【注意】平均値では自宅の売却期限を決められません
転勤、返済、相続した家の管理など、売却には個別の期限があります。市場全体が上向きでも、その期限に間に合う買主が現れる保証はありません。
また、在庫件数を月間成約件数で割った値を、そのまま「あなたの家が売れるまでの月数」と読むのも不適切です。売却を取りやめる物件や、新しく出る物件もあるためです。
査定を依頼するときは、近い条件の成約事例、その事例と自宅の違い、売出後に見直す条件をセットで聞きましょう。個別の借入・税務判断は、金融機関や税理士に確認してください。
売り時は「相場・期限・費用」の三つで決めます
最高値の予想より、判断の根拠をそろえます。
今日できることは、引き渡したい時期を書き出すこと、近隣の成約事例を確認すること、待つ追加費用を計算することです。売却準備の順番は売る前のチェックリストで確認できます。
よくある質問
Q. 不動産価格指数が高ければ高く売れますか?
自宅の査定額は決まりません。指数の対象地域・物件種別・対象月を確認し、近隣の成約事例と建物の状態を合わせて判断します。
Q. 政策金利が上がったら、すぐ値下げすべきですか?
自動的に値下げする必要はありません。競合物件や問い合わせ、内覧後の反応を確認し、価格以外の原因も含めて見直します。
Q. 2026年末まで待つ方が得ですか?
将来価格は確定できません。待つ追加費用と売却期限を示し、現在の査定額を基に複数のケースを比較してください。

