結論:諸費用の合計は売却価格の4〜6%程度です
「3,000万円で売れたら、3,000万円がそのまま手元に残るはず」。多くの人が最初にそう考えます。ところが、仲介手数料の上限だけで105.6万円かかります。
だから、売り出す前に諸費用を引いた手取りで考えることが大切です。合計の目安は売却価格の4〜6%程度で、3,000万円なら120万〜180万円前後になります。
幅が出るのは、譲渡所得税(売却益にかかる税金)がかかるかどうかで変わるためです。マイホームなら3,000万円特別控除が使えることが多く、その場合は4%前後に収まりやすくなります。
この記事では、8つの費用の金額と支払時期を、ローンが残るマンションを売る人に向けて整理します。
8つの費用のうち、金額が大きいのは仲介手数料です
まずは全体像です。金額の目安と支払時期を表にまとめました。
| 項目 | 金額の目安 | 支払時期 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売買価格×3%+6万円+消費税(400万円超の場合の上限) | 契約時と引渡時に分割が多い |
| 印紙税 | 1万円(売買価格1,000万円超〜5,000万円以下) | 売買契約時 |
| 抵当権抹消の登録免許税 | 不動産1件につき1,000円 | 引渡時(決済時) |
| 司法書士報酬(抵当権抹消) | 1〜2万円程度 | 引渡時(決済時) |
| ローン一括返済手数料 | 金融機関により数千円〜数万円 | 引渡時(決済時) |
| 譲渡所得税・住民税 | 売却益が出た場合のみ(税率20.315%等) | 売却翌年の確定申告後 |
| 引越し費用 | 数万円〜数十万円 | 引渡し前後 |
| ハウスクリーニング等(任意) | 数万円程度 | 売り出し前など |
つまり、誰でもかかるのは仲介手数料と印紙税です。ローンが残っていれば、抵当権抹消の費用が加わります。
一方、譲渡所得税は「かかる人」と「かからない人」がはっきり分かれます。また、引越し費用は繁忙期(3〜4月)に高くなりやすく、売却後に賃貸を挟むと2回分かかります。
仲介手数料は3,000万円の売却で上限105.6万円です
仲介手数料は、売買契約が成立したときに不動産会社へ払う成功報酬です。宅建業法(不動産取引のルールを定めた法律)で上限が決まっています。
売買価格が400万円を超える場合、上限は速算式で「売買価格×3%+6万円+消費税10%」です。たとえば、次のようになります。
- 2,000万円で売却:2,000万円×3%+6万円=66万円、税込72.6万円
- 3,000万円で売却:3,000万円×3%+6万円=96万円、税込105.6万円
- 4,000万円で売却:4,000万円×3%+6万円=126万円、税込138.6万円
支払時期は「契約時に半金、引渡時に残り半金」という分割が多く採用されています。つまり、契約時に全額を用意しなくてよいケースが多いのです。
なお、上限は法律上の上限なので、値引きの交渉自体はできます。ただ、手数料を数万円削るより、売却価格が数十万円上がる方が手取りへの影響は大きくなります。
印紙税と抵当権抹消は、合わせて数万円で済みます
売買契約書には印紙税がかかります。2027年3月31日までに作成する契約書は軽減税率の対象で、金額は次のとおりです(出典: 国税庁 No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置)。
- 売買価格1,000万円超〜5,000万円以下:1万円
- 売買価格5,000万円超〜1億円以下:3万円
契約書は売主と買主が1通ずつ保管するのが通例です。だから、それぞれが自分の保管分の印紙代を負担します。
また、住宅ローンが残るマンションには、金融機関の抵当権(ローンの担保として設定される権利)が登記されています。引き渡す前に、これを抹消する登記が必要です。
- 登録免許税:不動産1件につき1,000円。専有部分(建物)と敷地権(土地)で通常2,000円です。土地の筆数が多い物件では件数分増えます。
- 司法書士報酬:1〜2万円程度が目安です。
抹消は、引渡し当日の決済(売買代金の受け渡し)と同時に司法書士が行うのが通常です。さらに、ローンの一括返済手数料が金融機関によって数千円〜数万円かかります。
譲渡所得税は、売却益が出た人だけにかかります
譲渡所得税は、売却価格から取得費(購入代金など)と譲渡費用(仲介手数料など)を引いて、利益が出た場合にかかります。税率は所有期間で変わります。
| 区分 | 所有期間 | 税率 |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
| 10年超所有のマイホーム軽減税率 | 10年超 | 課税譲渡所得6,000万円以下の部分は14.21% |
ただし、所有期間は「売った年の1月1日時点」で判定されます(出典: 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算)。たとえば2021年6月に買って2026年8月に売ると、短期譲渡になります。
実際は5年を超えていても、2026年1月1日時点では4年7か月だからです。つまり、あと数か月待つだけで税率が半分近くになるケースもあります。
また、マイホームの売却には3,000万円特別控除があります(出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例)。要件を満たせば譲渡益から最大3,000万円を引けるため、多くのマイホーム売却では税金がかかりません。
とはいえ、税額が0円でも、控除を使うには確定申告が必要です。税理士に頼めば報酬がかかり、自分で申告しても購入時の資料集めに時間がかかります。
【注意】4〜6%に収まらない売り方もあります
4〜6%は、マイホームを5年超持って売る場合の目安です。次の3つに当てはまると、諸費用の割合は大きく変わります。
1つ目は、所有期間5年以下で売却益が出る場合です。税率が39.63%なので、たとえば売却益が500万円なら、税金だけで約198万円になります。
2つ目は、購入時の売買契約書をなくした場合です。取得費を証明できないと、概算取得費として売却価格の5%しか認められず、税額が大きく膨らむことがあります。
3つ目は、800万円以下の安い物件です。「低廉な空家等の特例」(2024年7月の告示改正)で、仲介手数料の上限が最大30万円+税まで認められています。
たとえば500万円の物件で30万円(税抜)なら、手数料だけで6%です。そして、管理費・修繕積立金や固定資産税は、引渡日を基準に日割りで精算するのが通例です。費用ではありませんが、決済時の受取額に影響します。
まとめ:売り出す前に、手取りでローンを完済できるか確かめます
ということで、マイホームを5年超持って売る人は売却価格の4%前後、税金がかかる人はそれ以上を見込んでおくと安心です。
諸費用は売り出す前に差し引いて考える
今日できることは3つです。
- 購入時の売買契約書を探し、購入価格を確かめる
- 売る年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えるか数える
- ローン残債を調べ、諸費用を引いた手取りで完済できるか計算する
よくある質問
Q. 3,000万円で売却すると、諸費用はいくらくらいですか?
合計の目安は売却価格の4〜6%程度で、120万円から180万円前後です。このうち仲介手数料の上限だけで105.6万円になります。3,000万円特別控除で譲渡所得税がかからなければ、4%前後に収まりやすくなります。
Q. 仲介手数料は、売買契約のときに全額払うのですか?
全額とは限りません。仲介の実務では「契約時に半金、引渡時に残り半金」という分割が多く採用されています。
Q. 税金が0円になる場合でも、確定申告は必要ですか?
必要です。3,000万円特別控除を使って税額が0円になる場合でも、控除の適用には確定申告が必要です。個別の事情で結論が変わるため、税理士や税務署にご確認ください。
手取り額を計算してみましょう
諸費用の全体像がつかめたら、次はご自身の条件での手取り額です。URUMAEの計算ツールなら、売却価格とローン残債を入力するだけで、仲介手数料・印紙税・抵当権抹消費用を自動計算し、手取り額の目安を確認できます。
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※本記事の税額は一般的な試算です。個別の税務相談は税理士にご相談ください。

