引渡し3日後の故障でも、まず見るのは契約です
「給湯器が壊れたので、新品代を払ってください」。引渡し直後の連絡でも、その場で約束する前に確かめたいことがあります。
付帯設備表(残す設備の一覧表)と契約の特約です。故障の時期だけでなく、補修対象と、渡す状態の合意で負担が変わります。
設備の状態を書くことと、補修しない合意は別です。 「不明」と書けば自動的に免責になるわけではありません。制度の全体像は契約不適合責任の解説も参照してください。
「無」より、症状を一行書くほうが伝わります
付帯設備表では「設備が有るか」と「故障・不具合が有るか」を分けて記入します。以下は書き方の例です。
| 設備 | 故障・不具合 | 備考に残す内容 |
|---|---|---|
| 給湯器 | 有 | お湯が出るまで時間がかかる。昨冬に一度停止し、再点火で復旧 |
| 洋室エアコン | 無 | 設置年と、冷房の作動を確認した日 |
| 空き家のエアコン | 不明 | 長期間未使用で、作動を確認していない |
「無」は確かめた範囲で書きます。未確認なら理由を記録し、壁内の配管まで目視だけで問題なしと断定しないことです。
そして仲介会社に「この記載の設備は、補修対象に入りますか」と質問します。対象から外すなら、その取扱いを買主と合意し、契約にも残してください。
「7日以内」は法律ではなく、契約例の期限です
設備には建物本体と別の補修期間を設ける契約もあります。対象・期限・方法は契約ごとに違います。
たとえば小田急不動産の契約解説には、「故障・不具合:無」の主要設備を、引渡し後7日以内の請求対象とする例があります。全国共通の期限ではありません。
民法566条の原則は、種類・品質の不適合を知ってから1年以内の通知です。売主が引渡し時に知っていた場合などは例外があります(出典:民法566条)。
だから署名前に、「対象の設備」「いつまでに、誰へ連絡するか」「交換か補修か」の3点を、契約書の該当箇所で示してもらいましょう。
20万円で交換するより、15万円の値引きが残ることも
次は、不具合のある給湯器が残る3,000万円の住宅を売る仮の比較です。ほかの費用は同じとして省きます。
| 売り方 | 交換費・値引き | 差し引いた額 |
|---|---|---|
| 交換して3,000万円で売る | 交換20万円 | 2,980万円 |
| 現況を説明して売る | 値引き15万円 | 2,985万円 |
差は5万円です。ただし後者は、不具合を告知し、その設備の補修を対象外にする合意がある前提です。値引き額も実際の相場ではありません。
交換代をかけても、その分だけ高く売れるとは限りません。一方、給湯器がまったく動かず、入居直後から暮らせない場合は、交換案も比べる価値があります。
【注意】知っている故障を伏せる方法は使えません
民法572条は、売主が知りながら告げなかった事実について、免責特約があっても責任を免れないと定めています(出典:民法572条)。
また、売主が宅建業者の場合、宅建業法40条は、引渡しから2年以上とする期間の特約を除き、民法566条より買主に不利な特約を禁じています(出典:宅建業法40条)。
特約の効力や請求額は個別の契約で変わるため、紛争時は弁護士へ相談してください。
まず残す設備を動かし、確認日と症状を記録します。その一覧と契約の補修対象を、仲介会社と照合してください。準備する書面は売却の必要書類一覧で確認できます。
よくある質問
Q. 壊れたら必ず新品代を払いますか?
自動的には決まりません。契約の補修範囲と方法、故障の内容、見積もりを仲介会社経由で照合してください。
Q. 全部「不明」にすればよいですか?
知っている症状は具体的に書きます。「不明」の記載だけでは補修責任を外せません。
Q. 空き家で作動確認できません。
未確認の理由を書き、引渡し前の通電・通水と、確認できない設備の扱いを相談してください。

