費用・税金2026年3月19日

3,000万円のマンションを売ると手取りはいくら?実例計算でわかる費用と税金

マンション売却手取り譲渡所得税3000万円特別控除

最終更新:

結論:想定例では手取りは約1,692万円です

3,000万円でマンションを売却したら、手元にはいくら残るのでしょうか。先に結論をお伝えします。

この記事で使う想定例(詳細は次の章で明記します)では、諸費用の合計が約108.1万円、譲渡所得税は0円、ローン残債1,200万円を完済した後の最終手取りは約1,691.9万円という計算になります。

  • 売却価格:3,000万円
  • 諸費用合計:約108.1万円(仲介手数料105.6万円+印紙税1万円+抵当権抹消約1.5万円)
  • 譲渡所得税:0円(3,000万円特別控除を適用できた場合)
  • ローン完済:1,200万円
  • 最終手取り:約1,691.9万円

ただし、この「税金0円」は条件次第で大きく変わります。特に、購入時の売買契約書が見つからない場合には、同じ売却でも数百万円単位の税金が発生し得ます。この記事では、計算過程をひとつずつ追いながら、どこで結果が分かれるのかを売却実務の視点で解説します。


想定例の条件

本記事の計算は、次の条件の想定例です。特定の実在する取引ではなく、実際によくある条件を組み合わせたモデルケースになります。

項目条件
売却価格3,000万円
住宅ローン残債1,200万円
購入時の価格(取得費)2,800万円
所有期間12年(10年超)
利用状況マイホーム(自分が住んでいた居住用財産)

所有12年のマイホームという設定なので、税制上は「長期譲渡所得」(所有5年超の区分)に該当し、さらに10年超所有のマイホーム軽減税率や3,000万円特別控除の対象になり得る条件です。それぞれ後ほど説明します。

費用の内訳:合計約108.1万円

まず、税金以外の諸費用です。

項目金額計算根拠
仲介手数料105.6万円(3,000万円×3%+6万円)×消費税1.1
印紙税1万円売買価格1,000万円超〜5,000万円以下の軽減税率(2027年3月31日までの契約)
抵当権抹消費用約1.5万円登録免許税2,000円(土地・建物各1,000円)+司法書士報酬1〜2万円程度の目安
合計約108.1万円売却価格の約3.6%

仲介手数料は、宅建業法で定められた上限の速算式「売買価格×3%+6万円+消費税10%」で計算しています。3,000万円の場合、3,000万円×3%+6万円=96万円、消費税を加えて105.6万円です。これが諸費用の大部分を占めます。

抵当権抹消費用は、ローンの担保として設定されている抵当権(金融機関が物件に設定する担保権)を登記簿から消すための費用です。登録免許税は不動産1件につき1,000円で、マンションは建物と敷地権で通常2,000円。手続きを依頼する司法書士の報酬が1〜2万円程度なので、合わせて約1.5万円を見込みます。このほか、ローンの一括返済手数料が金融機関により数千円〜数万円かかることがありますが、本記事の計算では省略します。

譲渡所得税の計算過程:契約書の有無で結果が激変します

ここからが本題です。譲渡所得税は「売却で利益(譲渡益)が出たか」で決まり、その計算にはこの式を使います。

  1. 譲渡所得=売却価格−取得費(購入代金等)−譲渡費用(仲介手数料・印紙税等)
  2. 課税譲渡所得=譲渡所得−特別控除(マイホームなら最大3,000万円)
  3. 税額=課税譲渡所得×税率

ケースA:購入時の契約書がある場合 → 税金0円

想定例では購入価格2,800万円が売買契約書で証明できるとします。

  • 譲渡所得=3,000万円−2,800万円−106.6万円(仲介手数料105.6万円+印紙税1万円)=93.4万円
  • 3,000万円特別控除を適用:93.4万円−3,000万円→課税譲渡所得は0円
  • 譲渡所得税:0円

マイホームの売却では、要件を満たせば譲渡益から最大3,000万円を差し引ける「3,000万円特別控除」(居住用財産を譲渡した場合の特別控除)が使えます。想定例の譲渡益は93.4万円ですから、控除の範囲に余裕をもって収まり、税金はかかりません。なお、厳密には建物部分の減価償却(経年による価値減少分を取得費から差し引く計算)で譲渡益はもう少し増えますが、それでも控除枠には遠く及ばないため、結論は変わりません。

一点だけ重要な注意があります。税額が0円でも、この控除を使うには売却翌年の確定申告が必要です。「税金がかからないなら申告不要」ではない点は、特に誤解が多いところです。

ケースB:契約書が見つからない場合 → 数百万円の差になり得ます

問題は、購入時の売買契約書を紛失していて取得費を証明できない場合です。この場合、税務上は概算取得費=売却価格の5%しか取得費として認められません。

  • 概算取得費=3,000万円×5%=150万円
  • 譲渡所得=3,000万円−150万円−106.6万円=2,743.4万円

実際には2,800万円で買ったのに、計算上は2,743.4万円もの「利益」が出たことにされてしまうのです。ここから先は、3,000万円特別控除が使えるかどうかで分かれます。

  • 控除が使える場合:2,743.4万円−3,000万円→課税譲渡所得0円で税額は0円。ただし控除枠をほぼ使い切る計算です。
  • 控除が使えない場合(住まなくなってから3年目の年末を過ぎていた、賃貸に出していて要件を満たさない等):長期譲渡所得の税率20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が課され、税額は約557万円(2,743.4万円×20.315%)に達します。

契約書があれば同条件で約19万円(93.4万円×20.315%)で済む計算ですから、その差は約538万円。紙切れ1枚の有無が、これだけの金額差を生みます。なお、要件を満たすマイホームで控除後も課税所得が残る高額売却の場合には、10年超所有の軽減税率(課税譲渡所得6,000万円以下の部分は14.21%)が使える場合もあります。

最初に着手すること:契約書探しは売却活動より先に

仲介の実務では、売り出しの相談の時点で「購入時の契約書はお手元にありますか」と確認されるのが通例です。築20年を超える物件や相続した物件ほど、契約書が見つからないケースが目立ちます。心当たりの探し場所は、権利証(登記識別情報)と一緒に保管された書類袋、購入時の不動産会社やデベロッパー(分譲主)への写しの照会、住宅ローンを組んだ金融機関の記録などです。分譲時のパンフレットや通帳の出金記録が取得費の立証に役立つ場合もあります。売却活動を始めてからではなく、査定を依頼する段階で探し始めることを強くおすすめします。

もうひとつ、所有期間の判定にも注意が必要です。所有期間は売った日ではなく「譲渡した年の1月1日時点」で判定されます。「購入からちょうど5年経ったから長期のはず」という勘違いは多いのですが、年をまたぐかどうかで短期(税率39.63%)と長期(20.315%)が分かれます。本記事の想定例は所有12年なので影響しませんが、所有5年前後・10年前後で売却を検討中の方は、売却時期を数か月調整するだけで税率区分が変わる可能性があります。

ローン完済後の最終手取り

最後に、ローン残債を差し引いて手取りを確定させます。想定例(ケースA・税金0円)の計算です。

項目金額
売却価格3,000万円
諸費用合計−約108.1万円
譲渡所得税0円
ローン残債の完済−1,200万円
最終手取り約1,691.9万円

引渡し当日の決済(売買代金の受け渡し)では、買主から受け取った代金の中からローンを一括返済し、抵当権を抹消して引き渡すのが実務上の流れです。手取りの約1,692万円は、住み替えの頭金や老後資金などに充てられる金額になります。あわせて、管理費・修繕積立金・固定資産税の日割り清算が決済時に行われますが、これは数千円〜数万円規模の精算のため本計算では省略しています。


あなたの条件では結果が変わります

今回の想定例では手取り約1,692万円・税金0円でしたが、これはあくまでひとつのモデルケースです。売却価格が違えば仲介手数料も印紙税も変わりますし、ローン残債の額、所有期間、契約書の有無、居住用かどうかで、手取りは数十万円から数百万円単位で動きます。

URUMAEの手取り計算ツールなら、ご自身の条件を入力するだけで、費用と手取りの目安をその場で確認できます。売り出し価格を決める前に、まず手取りベースで考えてみてください。

あなたの条件で計算する

諸費用の全項目を確認したい方はマンション売却の諸費用 全一覧を、相続したマンションの売却を検討中の方は相続シミュレーターもご覧ください。

※本記事の税額は一般的な試算です。個別の税務相談は税理士にご相談ください。

この記事について

本記事は、不動産売却情報メディア URUMAE 編集部が公表されている制度・法令に基づいて執筆・編集しています。 制度・税率は執筆時点の情報です。個別の税務相談は税理士にご相談ください。

運営者は宅地建物取引士。不動産業界での実務経験15年。

運営者情報を見る

売る前に、まず相場を確かめる

査定を依頼する前に自分で相場の見当をつけておくと、各社の査定額が妥当かどうかを判断できます。 国土交通省が公開している実際の取引データをもとに、町丁目別の相場を無料で公開しています。

町丁目別の相場を見る

関連記事