古い家は、工事を決める前に現状で査定を受けます
「築40年の家は、リフォームしないと売れない?」。築年数だけでは判断できません。地域の需要、建物の状態、管理や修繕の記録、買主の利用目的を合わせて見ます。
そのため、売却目的の大きな工事は、現状の査定と工事後の見込みを聞いてから検討します。一方、落下の危険や進行中の漏水など、安全や被害拡大に関わる対応は価格の比較と分けて考えましょう。
「そのまま売る」が、壊れた箇所を隠す意味にならないことも大切です。
リフォーム費用と売却価格の差を比べます
仮に現状で1,500万円、500万円の工事後に1,800万円で売れると見込む場合を考えます。これは費用比較の仮定で、築古物件の相場ではありません。
| 選択肢 | 工事費だけを差し引いた金額 |
|---|---|
| 現状で売却 | 1,500万円 |
| 工事後に売却 | 1,800万円−500万円=1,300万円 |
この例では、価格が300万円上がっても工事費を回収できず、現状売却より200万円少なくなります。どちらも仲介手数料、税金、ローン返済などを引く前の金額です。
ただし、工事をすれば損をする、何万円以下なら得をする、と一律にはいえません。見積もり、工期、想定する買主、修繕が必要な理由をそろえて比較します。
買主が自分で改装したい場合もあるため、内装の好みまで売主が決める必要があるか相談しましょう。売却前の準備では、片付けと工事を分けて整理しています。
【注意】旧耐震と、ローン利用の可否は同じ判定ではありません
耐震基準を確かめるときは、完成した年だけでなく建築確認日を確認します。1981年6月1日の新耐震基準への移行が一つの区切りです。
ただし、旧耐震だからすべての住宅ローンが利用できないとは限りません。耐震診断・改修の記録、建物と借主の審査条件を金融機関へ確認します。
例えばフラット35の中古住宅基準では、建築確認日が1981年5月31日以前なら、耐震評価基準等への適合が必要です。
建築確認日を確認できない場合は、表示登記の新築年月日が1983年3月31日以前かどうかで扱いを分けています。これは同商品の基準であり、税制やすべての金融機関に共通する日付ではありません。
また、耐震性だけで融資が決まるわけではありません。他の技術基準や借主の審査もあります。販売前に確認済証、検査済証、耐震診断などの資料を探しておきましょう。
マンションは管理資料、戸建ては建物と敷地を確認します
マンションなら、管理規約、長期修繕計画、積立金の状況、大規模修繕の記録をそろえます。自分の室内がきれいでも、共用部分の修繕予定や費用負担は別です。
間取り変更や配管工事にも、構造・規約による制約があります。「好きにリノベーションできる」と広告する前に、管理会社などへ範囲を確認します。
戸建てなら、屋根・外壁・給排水の修繕履歴に加え、接道、境界、増築の資料も必要です。解体しても同じ規模の家を建てられるとは限りません。
国土交通省の中古戸建ての評価改善指針は、年数だけでなく維持管理等を評価する考え方を示しています。資料は評価を説明する材料になりますが、値上がりの保証ではありません。
仲介と買取は、価格・費用・条件をそろえて比べます
仲介は不動産会社に買主を探してもらい、買取は不動産会社自身が買主になる方法です。買取なら何割安い、仲介なら何か月で売れる、という一律の基準はありません。
比較するときは、仲介の成約見込みと買取の提示条件を区別します。荷物の撤去、設備の修理、引渡し日を同じ条件にそろえると、金額差の理由が分かります。
また、「現状渡し」だけで売主の責任がすべてなくなるとは限りません。雨漏り、設備故障、修理履歴は告知書や設備表に記載し、何を直して引き渡すか合意します。
免責特約があっても、知っていて告げなかった事実は免責されません。根拠は民法572条です。詳しくは契約不適合責任の考え方を確認してください。
古さを隠すより、状態と条件を説明できる準備を。
まず修繕記録と管理資料を集め、現状での査定を依頼します。工事や解体は、その結果と必要な費用を比べて決めましょう。
よくある質問
Q. 築50年でも査定を頼めますか?
頼めます。ただし売れる価格や時期は個別です。年数だけで断らず、管理、立地、修繕状況、利用できる融資の条件を確認してもらいます。
Q. 壊れた給湯器は交換すべきですか?
故障を伝え、交換して渡すか、買主が交換する条件にするかを相談します。居住中の生活や安全に必要な修理は、売却価格だけで判断しないことが大切です。
Q. 購入価格より安く売れば税金はかかりませんか?
そうとは限りません。建物の取得費は減価償却分を調整するためです。国税庁の計算方法を基に、購入資料と費用を整理して確認します。

