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物件別

修繕積立金が値上げされるマンションは売れる?国交省の目安と売却前に確認する数字

足場と養生シートを設けたマンションの外観(写真風のAI生成画像)
写真風のAI生成画像です。実在の物件や修繕工事を撮影したものではありません。

月8,000円だから不足、とすぐには言えません

「修繕積立金が上がると、家の売値も下げなければならない?」。値上げは買主の毎月の負担に関わりますが、売却価格が一律に下がるとは限りません。積立金の残高や、これから予定する工事と合わせて考えます。

ここで間違えやすいのが、国土交通省の目安との比べ方です。目安は今月の徴収額ではなく、長期修繕計画の期間全体を通じた平均額です。今の月額だけを引いて「この差は必ず値上げになる」とは言えません(出典:国交省ガイドライン、令和6年6月改定、5〜7ページ)。

だから売主は、金額の高低より「計画に必要なお金がどう集まるか」を説明できる資料を用意します。

目安は、階数と建物全体の延床面積で選びます

同ガイドラインの平均額をまとめました。機械式駐車場分は含みません。建築延床面積は建物全体の規模で、自分の部屋の面積ではありません。

地上階数・建築延床面積平均額(円/㎡・月)
20階未満・5,000㎡未満335
20階未満・5,000〜10,000㎡未満252
20階未満・10,000〜20,000㎡未満271
20階未満・20,000㎡以上255
20階以上・全規模338

これは長期修繕計画の事例に基づく参考値で、全国一律の最低額ではありません。例えば20階未満・5,000㎡未満では、事例の中央寄り3分の2の幅は235〜430円です。範囲外というだけで不適切とは判断しない、と国交省も説明しています。

70㎡に平均335円を掛けると月23,450円。ただし、これがその住戸に今すぐ必要な徴収額という意味ではありません。残高や他の収入を含む計画全体と比較します。

同じ月額でも、残高と繰入金で平均は変わります

国交省の計算式は「当初残高+計画中に集める総額+専用使用料等からの繰入総額」を、総専有床面積と計画月数で割ります。区分を選ぶ建築延床面積と、計算に使う総専有床面積は別です。

仕組みを見る仮の例として、全50戸が70㎡、30年間の計画、月額が全戸1万円で一定とします。駐車場などから年100万円を積立会計に繰り入れる前提です。

計算に使うもの仮の金額・面積
計画開始時の残高3,000万円
30年間に集める額1万円×50戸×360か月=1億8,000万円
30年間の繰入額100万円×30年=3,000万円
総専有床面積70㎡×50戸=3,500㎡
計画期間全体の平均額2億4,000万円÷3,500㎡÷360か月=約190円/㎡・月

今の徴収額を面積で割ると約143円ですが、計画全体なら約190円です。過去の積立と繰入を無視すると、違う数字になります。

とはいえ、約190円だから足りると結論づける例でもありません。予定工事の費用、支払う年、実際に集まる見込みを計画表で確かめます。

売却前にそろえるのは、残高・計画・決議です

まず、重要事項調査報告書と直近の収支決算書で、積立金残高、滞納、借入を確認します。次に長期修繕計画で、更新日、次の工事、値上げや一時金の予定を見ます。重要事項調査報告書の読み方も参考になります。

値上げの記載があれば、総会議事録と照合します。「検討中」「計画に記載」「総会で決議済み」を同じ意味で伝えず、決議済みなら開始月と変更後の額を仲介会社に渡してください。

例えば月1万円から1万8,000円へ変われば、負担増は年9万6,000円です。この計算は買主が支出を考える材料で、同額やその何年分かを売値から必ず引く決まりではありません。値下げ交渉の考え方と分けて整理します。

【注意】修繕済みでも、次の出費がないとは限りません

外壁の大規模修繕を終えていても、給排水管やエレベーターなど別の工事が残る場合があります。工事名と実施年を見て、何を済ませたのか確かめます。

機械式駐車場は機種や台数で必要額が異なります。駐車場収入で修繕費を賄う場合などには、目安へ別途加算する必要がない扱いもあります。住戸ごとに同じ金額を機械的に足さないでください(同ガイドライン8ページ)。

安さより、計画と資金のつながりを確認します。

更新:2026年10月24日、値上げで売価が下がるとの断定と、現在月額だけで不足を判断する説明を訂正しました。

続けて読むなら、管理費・修繕積立金の売却時の精算です。

よくある質問

Q. 目安より低ければ値上げが必要ですか?

目安だけでは決まりません。計画上の支出、残高、繰入などを合わせて管理組合・管理会社に確認します。

Q. 一時金の徴収が決まっています。誰が払いますか?

規約・決議で支払義務を確認し、売主と買主の負担を売買契約にも明記します。引渡日の前後だけで決めつけないでください。

Q. 高い積立金なら安心して売れますか?

高いだけでは十分とは言えません。残高が多くても大きな工事が近いことがあります。金額と予定をセットで示します。

この記事について

本記事は、不動産売却情報メディア URUMAE 編集部が公表されている制度・法令に基づいて執筆・編集しています。制度・法令は執筆時点の情報です。個別の事情については専門家にご相談ください。

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