更地の方が高く売れても、手取りが増えるとは限りません
「古い家を壊せば、土地が売りやすくなるはず」。そう考えたら、工事を頼む前に二つの見積もりを取りましょう。古家付きで売る場合と、更地で渡す場合です。
たとえば、古家付き1,800万円、更地2,000万円、解体費250万円と仮定します。更地の売値は200万円高くても、解体費を引くと1,750万円です。
つまり、他の費用や税金を考慮する前に50万円下回ります。これは相場ではなく比較用の例です。売値の上昇分と、解体で増える負担を比べます。
売却は「調査・比較・契約」の順に進めます
登記、測量図、購入時の契約書、固定資産税の明細を集め、境界や接道の不明点を仲介会社と整理します。
| 段階 | 決めること・集めるもの |
|---|---|
| 売る前の調査 | 所有者、境界、接道、古家の状態を確認 |
| 条件をそろえた査定 | 古家付きと更地の見込み額・費用を比較 |
| 販売と契約 | 解体する人、費用、引渡し状態、期限を明記 |
| 決済・引渡し | 残代金、登記、合意した条件の完了を確認 |
ただし、全ての土地で確定測量が必須とは限りません。既存資料の内容、買主の希望、契約条件で必要範囲は変わります。境界の不明点は戸建て売却の確認事項も参考にしてください。
古家を使いたい買主がいるかも、査定時に確認します。
固定資産税は「必ず6倍」ではありません
住宅がある土地には、住宅用地の特例があります。小規模住宅用地は住宅1戸につき200㎡まで、固定資産税の課税標準が原則6分の1になります。
とはいえ、建物を壊したら請求額全体が6倍になるわけではありません。土地には負担調整措置があり、建物の固定資産税はなくなるからです。
朝来市の説明では、土地の課税標準を評価額の70%までとする仕組みを示しています。小規模住宅用地との単純比較なら、70%÷6分の1=4.2倍です。全国の全ての土地で、この倍率になるという意味ではありません。
出典:朝来市・住宅解体後の固定資産税。
東京都主税局の案内のとおり、固定資産税は原則1月1日の状況で判定されます。解体前に自治体へ、翌年度の土地・建物それぞれの見込み額を確認してください。都市計画税がかかる地域では、それも別に確認します。
売却益への税金も、解体費と分けて計算します
個人が土地を売る場合、税金の対象は原則として売却代金そのものではありません。売却収入から取得費、売るために直接かかった費用、適用できる特別控除を引いた利益です。
国税庁は、土地を売るために建物を取り壊した費用を譲渡費用に挙げています。修繕費や固定資産税などの維持費は、同じ扱いにはできません。
出典:国税庁・譲渡費用となるもの。
税率は、売却年の1月1日時点の所有期間が5年を超えるかで分かれます。通常の税率は、長期20.315%、5年以下の短期39.63%です。所得税・復興特別所得税・住民税の合計で、特例によって変わります。
出典:国税庁・長期譲渡所得、短期譲渡所得。
取得費不明なら売却額の5%を使う方法もありますが、まず購入資料を探します。
出典:国税庁・取得費が分からないとき。
自宅を解体して3,000万円控除を使う場合は、取壊しから1年以内の譲渡契約、転居から3年経過日の年末までの売却、解体後の貸駐車場等への不使用などが条件です。国税庁の要件を解体前に確認します。
【注意】危険な古家は、売れるまで残すとは決めません
倒壊などの危険がある建物は、安全確保を先に検討します。管理不全空家等・特定空家等として勧告を受けると、建物が残っていても住宅用地の特例から外れます。
また、解体後に同じ建物を再建築できるとは限りません。道路や建築制限を自治体・専門家に確認してから判断します。工事費は構造や進入路などで変わるため、一律の坪単価で決めないでください。
契約後に解体する場合も、買主のローン条件や解除条項を確認します。「契約したから無駄な解体費は発生しない」とは言い切れません。
解体を発注する前に、二つの手取りを並べます
古家付きと更地の査定、工事費、税の見込みを並べます。解体の担当と完了期限も契約で決めましょう。
詳しい税額の準備は不動産売却の税金へ。売値だけで決めず、手取り計算で全体を比べましょう。
よくある質問
Q. 更地にすれば必ず早く売れますか?
保証はありません。古家の利用を望む買主もいるため、地域の需要と解体後の手取りを比較します。
Q. 解体費は全額、税金から戻りますか?
戻りません。譲渡費用に該当する場合、利益の計算で差し引く仕組みです。支払額そのものが還付される制度ではありません。
Q. 相続してすぐ売ると短期譲渡になりますか?
通常は亡くなった方の取得時期を引き継ぎます。相続日だけで判定しません。出典:国税庁・相続した土地の取得時期。

