地図の色だけで、売れない家とは決まりません
「自宅に色が付いている。もう売れないのでは」。ハザードマップを見て不安になっても、まず災害の種類と想定の内容を確かめてください。同じ色に見えても、洪水の浸水深と土砂災害の区域指定では意味が違います。
区域内という情報だけで、売却できるか、何%値下がりするかは判断できません。地図・被害履歴・建物の条件を分けて説明することから始めます。
この記事では、売却を考える方に向けて、全国で使える調べ方と、不動産会社へ渡す資料を整理します。
水害の想定と、土砂災害の区域指定を分けます
入口はハザードマップポータルサイトです。住所を検索し、災害の情報を切り替えて確認します。洪水だけを見て終わらず、内水・高潮・津波・土砂災害も対象にしてください。
| 確認する情報 | 売る前に調べること |
|---|---|
| 洪水・内水・高潮・津波 | 災害別の浸水深、想定の前提、地図の更新日 |
| 土砂災害警戒区域 | 指定の有無、土砂災害の種類、避難情報 |
| 土砂災害特別警戒区域 | 上記に加え、建替え等に関わる規制 |
土砂災害特別警戒区域では、一定の開発行為の制限や建築物の構造規制が関わります。東京都の制度説明でも確認できます。国の法律に基づく制度ですが、個別の建替え条件は所在地の自治体に照会します。
だから、「警戒区域だから建築制限は一切ない」とも決めつけません。ほかの法令や条例による条件を含め、指定図と敷地の位置を担当窓口に確認してください。
重要事項説明では、最新の地図で所在地を示します
国土交通省の説明では、水防法に基づく洪水・雨水出水・高潮のハザードマップ上の所在地が、重要事項説明の対象です。不動産会社が契約前に説明します。
使うのは市町村が配布・公表する、入手可能な最新の地図です。ポータルサイトを見た記憶だけで済ませず、自治体の資料と照合します。
とはいえ、地図の説明だけで売主の準備が終わるわけではありません。過去に床下浸水があったなら、発生時期・被害箇所・修理内容を別に整理し、不動産会社へ伝えてください。
修理済みでも「何もなかった」とは説明しません。写真や請求書をそろえ、契約書や報告書への記載を相談します。責任の範囲は個別事情によるため、判断に迷う場合は専門家に確認してください。
値下げの理由を、区域と物件固有の条件に分けます
「ハザードがあるから200万円引いてほしい」と言われたら、金額だけで返事をせず、何を懸念しているのか聞きます。浸水深なのか、過去の被害なのか、対策費なのかで、確認資料が変わります。
仮に売出価格3,000万円に対し、200万円の値下げ要求なら、割合は約6.7%です。計算は200÷3,000×100。ただし、この数字はハザードによる一般的な値下がり率ではありません。
担当者には、似た立地・築年・広さの事例との違いを説明してもらいます。同じ町内でも、想定や敷地の高さ、建物の条件まで同じとは限りません。
つまり、「周辺も区域内だから影響は織り込み済み」とも断定できません。売出価格と実際に売れた価格を区別し、差の根拠を確かめます。価格の話は値下げ交渉の判断基準も参考になります。
【注意】色がない・被害がないことは、安全の保証ではありません
国土交通省は、浸水想定区域外であることを、水害リスクがないと誤認させないよう求めています。過去に被害を経験していなくても、将来の被害がないとは言えません。
また、国土地理院のFAQは、ポータルの情報が最新とは限らないと説明しています。細部や境界は、自治体や河川管理者の公表資料で確かめます。
だから、売主が把握していない履歴を「被害なし」に置き換えないでください。「所有していた期間には経験していない」「それ以前は未確認」と範囲を分ければ、分かることが伝わります。
3つの資料をまとめて、不動産会社へ渡します
売り出し前に、次の3つを一緒に用意します。対策は効果を保証する材料ではなく、実施した事実として示します。
- 自治体の最新地図と、区域名・想定・確認日のメモ
- 被害や修理の履歴が分かる写真・請求書
- 止水板などの対策、建替え条件を確認した資料
説明できる事実と、未確認のことを分けます。
続けて読むなら、売却後の契約不適合責任です。
よくある質問
Q. 区域内の家は売却をあきらめるべきですか?
区域内というだけで決める必要はありません。規制や建物の状態を確認し、価格と売却条件を個別に検討します。必ず売れるという意味ではありません。
Q. 古いハザードマップを使ってもよいですか?
売却時点で入手可能な最新資料を確認します。区域指定や想定が更新されている場合があるため、保存日だけでなく資料の作成・更新日も見てください。
Q. 対策工事をしたら、区域から外れますか?
工事をしただけで自動的に指定が変わるとは考えないでください。現在の指定と工事の効果は別に確認し、自治体の担当窓口へ照会します。

