戸建て売却は、土地と建物の条件を別々に確認します
「家はきれいだから、そのまま売れる?」。建物の状態が良くても、境界や道路の条件が未確認だと、引渡しの日程を決めにくくなります。
反対に、築年数だけで建物の価値をゼロと決める必要もありません。修繕履歴や現状を示し、土地と建物をそれぞれどう評価したか査定会社に聞きましょう。
売却前に見るべき8項目は次のとおりです。費用がかかる工事や測量を、資料確認より先に発注しないことが大切です。
売る前に確認したい8項目
| 項目 | 確認する資料・内容 |
|---|---|
| 1 名義と権利 | 登記事項証明書、共有者の意向、抵当権、ローン残高 |
| 2 土地・建物の評価 | 近隣の成約事例、建物の状態、修繕履歴 |
| 3 境界 | 地積測量図、境界確認書、現地の杭やプレート |
| 4 越境 | 塀、屋根、枝、配管などの位置と既存の合意 |
| 5 接道・再建築 | 道路の法的な種類、接道長さ、後退の要否 |
| 6 建物の調査 | 建物状況調査の範囲、費用、確認できない部分 |
| 7 不具合の告知 | 雨漏り、シロアリ、故障、増改築・修理の記録 |
| 8 引渡し条件 | 解体、荷物撤去、修理、測量の担当と期限 |
この一覧は「全部やればトラブルがなくなる」という保証ではありません。不明点を見つけ、誰に確認するかを決めるために使います。
境界と越境は、資料と現地を照らし合わせます
まず購入時の書類や法務局の地積測量図などを探し、現地の境界標と対応するかを確認します。古い図面があるだけで、現在の境界について隣地と確認済みとは限りません。
ただし、境界標がないから必ず売れない、全件で確定測量が必要、とはいえません。取引条件と資料の状態を踏まえ、土地家屋調査士に必要な調査を相談します。
測量費や期間は、面積だけでなく、隣接地、道路、既存資料や立会いの調整で変わります。「全国一律で何万円・何か月」と置かず、見積もりと完了までの条件を確認しましょう。
越境が疑われる塀や配管は、勝手に撤去しません。所有者、利用状況、既存の覚書を調べ、撤去・存置・将来対応をどう合意するか相談します。
特に、土地の筆界と所有権の範囲は同じとは限りません。争いがある場合は測量だけで解決すると決めず、必要に応じて弁護士にも確認します。詳しくは境界と確定測量の進め方を参照してください。
【注意】接道は、見た目の道幅だけで判断しません
都市計画区域・準都市計画区域では、原則として建築基準法上の道路に敷地が2m以上接する必要があります。根拠は建築基準法41条の2・42条・43条です。
ただし、幅4m未満でも法上の道路と扱われる場合や、認定・許可による例外があります。一方、広い道に見えても法上の道路とは限りません。
つまり「2mあるから建て替えられる」「4m未満だから建て替えられない」と自己判断しないことです。道路の指定、セットバック、用途や建物規模の制限を自治体の建築担当窓口で確認します。
区域外でも条例などの確認は必要です。古い家を壊す前に、再建築できる条件と建てられる規模を調べましょう。
建物調査と告知書は、役割が違います
建物状況調査は、所定の講習を修了した建築士が、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防ぐ部分などを調べる制度です。調査対象や方法は事前に確認します。
ただし、すべての欠陥を発見する保証ではなく、耐震診断とも別です。国土交通省の案内も調査の限界を示しています。調査済みだから売主の説明が不要になるわけではありません。
売主は知っている不具合や修理歴を告知書に整理します。「雨漏りを修理した」と「現在雨漏りがないと確認した」は別の情報です。時期、工事内容、再発の有無を分けて記載します。
また、告知書に書けばすべて免責されるわけではありません。修理して引き渡すのか、現状を買主が了承するのかを契約内容に反映します。契約不適合責任も合わせて確認してください。
解体は、土地としての売値と工事費を比較してから決めます
仮に古家付きで2,000万円、更地なら2,200万円で売れると見込んでも、解体費が250万円なら差引きは1,950万円です。古家付きより50万円少なくなります。
これは相場ではなく仮定の計算で、仲介手数料、税金、返済などは含めていません。解体で利用できなくなる税の特例や、土地の課税への影響も別に確認します。
古家付きで売る場合も、建物をどう扱うか、残す設備や荷物、買主による解体予定を明確にします。「土地として売る」の一言で建物の説明を省かないようにしましょう。
測量や解体の前に、売却条件を確認する。
まず土地と建物の資料をそろえ、不明点を担当者に伝えてください。売却前のチェックリストも準備に使えます。
よくある質問
Q. 住みながら戸建てを売れますか?
売却活動はできます。内覧日時と立入り範囲を調整し、庭や床下点検口などを確認できる状態にします。転居と引渡しの期限も決めておきましょう。
Q. 調査で不具合が見つかったら売れませんか?
一律に売れなくなるわけではありません。内容を説明し、修理の要否・費用・引渡し条件を検討します。原因が分からなければ追加調査を相談します。
Q. 築20年なら建物価格はゼロですか?
年数だけで決まりません。状態や維持管理も評価材料です。現状の査定理由を確認し、建物付きと土地利用の両方を比べます。

