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売却の方法

不動産売却の告知義務はどこまで?修理履歴・人の死と告知書の書き方

天井付近の水染みと点検用の懐中電灯(写真風のAI生成画像)
写真風のAI生成画像です。実際の不具合や責任の所在を示す写真ではありません。

10年前に直した雨漏りも、伝えるべきでしょうか?

「修理したのだから、もう書かなくてよい?」。修理済みでも、発生箇所と修理内容、現在把握している状態を仲介会社に伝えましょう。年数だけで告知の要否を決めることはできません。

ただし、知っていることを無差別に並べればよいわけでもありません。買主の判断に影響する事実か、契約でどの状態を約束するかを整理します。うわさや推測を、確認済みの事実として書かないことも必要です。

告知書への記載と、契約上の責任を負わない合意は同じではありません。事実の説明、引渡し条件、責任の範囲を別々に確認して進めます。

告知と契約不適合責任の関係を確認します

引き渡した物件が契約内容に適合しない場合、民法では修補等の請求や、一定の条件の下で代金減額・損害賠償・解除の問題が生じます。買主がどの請求をできるかは、それぞれの要件で判断します。

また、免責特約があっても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れません(出典:民法562〜564・572条)。

たとえば「雨漏り跡がある」とだけ書いても、現在も雨漏りしている事実まで伝えたことにはなりません。現状のまま引き渡すのか、売主が修理するのか、どの範囲を合意したのかが問題になります。

反対に、知らなかった不具合なら常に責任を負わない、ということでもありません。契約内容と特約を契約不適合責任の確認点で整理してください。

告知書には、事実と確認資料を対応させます

物件状況報告書などの項目に沿って、知っていることを書き出します。名称や書式は会社によって異なります。書面で伝えた内容を買主に説明し、双方で確認した控えを残しましょう。

確認する分野整理する事実・資料の例
建物・設備雨漏り、シロアリ、漏水、故障の履歴と修理記録
土地・境界越境や境界の協議、埋設物について把握した内容
法令・管理増改築の資料、管理規約、判明している制限
近隣・生活環境騒音等が起きた日時、内容、相談や対応の記録
事件・事故等発生時期・場所、把握している事実と情報源

これらがすべて同じ法律上の扱いになるわけではありません。まず仲介会社に共有し、調査や買主への説明が必要な点を確認します。建築や権利の判断を、売主の記憶だけで確定させないでください。

特に騒音は「隣人が迷惑な人」といった評価でなく、いつ、どのような音が、どの程度続いたかを書きます。第三者の病名や家庭事情など、取引と関係のない個人情報まで広げる必要はありません。

修理済みの事実は、時系列で具体的に書きます

記載例なら「2019年6月、和室天井に雨染みを確認。同年7月に屋根を補修。工事記録を添付。以後、自分が居住していた2024年3月までは再発を確認していない」という形です。

これは書き方の例で、実際の体験談ではありません。空き家になってから確認していないなら、その期間まで「再発なし」と言い切らないでください。

「なし」と「不明」も区別します。相続した家に住んでいない場合は、把握している範囲と、資料・家族への確認で分かったことを分けます。知らないのに「なし」、知っているのに「不明」と書かないことが基本です。

修理見積りがあっても、必ず売主がその金額を支払うと決まるわけではありません。補修して引き渡す案、状態を説明して現状で引き渡す案を比べ、契約で費用と役割を決めます。

たとえば屋根工事40万円と内装10万円なら合計50万円ですが、その合計が当然に値引き額や賠償額になるわけではありません。見積範囲と原因、契約上の約束を確認します。

人の死は、売買と賃貸の目安を混同しないよう注意します

国土交通省の指針は、居住用不動産に関する不動産会社の調査・告知の考え方です。個人売主の民事責任を一律に免除する規定ではありません。

指針では、自然死や日常生活の不慮の死は原則として告げなくてもよい扱いです。ただし、発見が遅れたこと等に伴い特殊清掃や大規模改修が行われた場合は、その原則だけでは判断できません。

また、賃貸で示される概ね3年という目安は、売買には適用されません。買主から質問された場合や、社会的影響等の特段の事情がある場合の扱いにも留意します(出典:国土交通省・人の死の告知ガイドライン)。

「3年たったから売却でも説明不要」と判断しないでください。不明な死因を推測せず、確認できた範囲を仲介会社に伝えます。故人や遺族の名誉・生活の平穏にも配慮が必要です。

契約前に、説明と約束が一致しているか見直します

告知書を書き終えたら、契約書、設備表、修理資料と内容を照合します。「修理済み」と「売主が引渡しまでに修理予定」を混同していないか、未確認事項が残っていないかを見ます。

契約後に新たな不具合や事実が分かった場合も、そのままにせず仲介会社へ伝えます。告知の要否や特約に迷う場合は、契約前に弁護士等へ確認します。

資料の抜けは売却前のチェックリストで整理できます。買主へ渡した版と添付資料を一式で保管しておきましょう。

知っている事実と、契約で約束する状態をそろえる

よくある質問

Q. 修理した雨漏りは何年後まで伝えますか?

一律の年数で区切れません。把握している履歴と現在の状態を仲介会社へ共有し、契約内容と合わせて説明を整理します。「古いから記入しない」と自己判断しないでください。

Q. 告知書に書けば責任はなくなりますか?

なくなるとは限りません。説明の範囲と契約内容が一致しているかが問題です。修理を約束したのに未実施だった場合などは、書面に記載しただけでは解決しません。

Q. 告知で価格は何%下がりますか?

事実の内容、修理状況、買主の意向等によって異なります。一律の割合や、隠した場合との費用差は示せません。事実と資料をそろえ、根拠のある条件で売却を検討します。

※2026年10月24日更新:告知書への記載だけで免責されるとの説明、架空の賠償額比較を修正し、人の死の指針の対象と例外を補足しました。

この記事について

本記事は、不動産売却情報メディア URUMAE 編集部が公表されている制度・法令に基づいて執筆・編集しています。制度・法令は執筆時点の情報です。個別の事情については専門家にご相談ください。

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