売却の方法2026年7月9日

不動産の囲い込みとは?売主の損害と見抜き方3つ【2025年規制強化後も要注意】

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結論:囲い込みは「あなたの買主候補を会社の都合で断る」行為。規制は強化されましたが、自衛は今も必要です

囲い込みとは、売却を任された不動産会社が、自社で買主も見つけて両側から手数料を得る(両手仲介)ために、他社が連れてくる買主候補を「商談中です」などの虚偽の理由で断る行為です。売主にとっては、本来もっと早く・高く売れたはずの機会を奪われることを意味します。

2025年1月から規制が強化され、レインズ(業者間の物件情報ネットワーク)の取引状況(ステータス)を売主自身が確認できる仕組みの徹底と、虚偽登録が行政処分(指示処分)の対象であることが明確化されました。それでも、囲い込みは外形上「たまたま自社で買主が見つかった」と区別がつきにくく、完全にはなくなっていないのが実情です。

売主にできる自衛は3つ。レインズの登録証明書を必ず受け取ってステータスを自分で確認すること、販売報告の中身を精査すること、疑わしければ確認テストを行うことです。この問題は不動産業界の信頼に関わる話だからこそ、本記事では仕組みから対処法まで踏み込んで解説します。


囲い込みの仕組み:両手仲介の手数料計算で理解する

不動産会社の報酬(仲介手数料)には2つのパターンがあります。3,000万円の売買を例に計算します(400万円超の物件の上限速算式:売買価格×3%+6万円+消費税)。

取引の形会社が得る手数料金額(3,000万円の例)
片手仲介(売主側のみ)売主からのみ96万円+税=105.6万円
両手仲介(売主・買主の両方)売主と買主の双方から105.6万円×2=211.2万円

両手仲介そのものは違法ではありません。自社の顧客リストにちょうど良い買主がいるなら、売主にとっても悪い話ではないからです。問題は、両手にこだわるあまり、他社経由の買主候補を意図的に排除することです。他社が「うちのお客様が内覧したい」と問い合わせても、「申込みが入っています」「売主の都合で止めています」と嘘をついて断る。これが囲い込みです。会社の手数料は2倍になりますが、売主は買主候補の大半と出会えなくなります。

売主の損害:売却の長期化と「値下げ誘導」

囲い込みの損害は目に見えにくいのが厄介な点です。典型的には次の形で現れます。

  • 売却期間の長期化:市場全体には買主候補が100人いても、自社顧客だけなら数人です。母数が絞られるため、売れるまでの時間は確実に延びます
  • 値下げ誘導:長期化すると、会社は「反響が少ないので値下げしましょう」と提案します。売主は市場の反応が悪いと信じて応じますが、実際には反応を意図的に遮断されていただけ、という構図です
  • 交渉での不利:両手仲介では会社は買主からも手数料を得るため、買主の値引き要求に甘くなる構造的な利益相反があります

数字で見てみましょう。3,000万円の物件が囲い込みで3ヶ月余計にかかり、100万円の値下げで2,900万円成約になったとします。売主の損害は値下げ100万円に加え、3ヶ月分の住宅ローン利息・管理費・固定資産税の負担です。一方、会社の手数料は2,900万円の両手仲介で204.6万円(2,900万円×3%+6万円=93万円、税込102.3万円の2倍)です。片手で3,000万円を早期成約した場合の105.6万円と比べ、売主が損をしたのに会社だけが約99万円多く得をする計算になります。売主の利益と会社の利益が逆方向を向くのが、囲い込みの本質です。

2025年1月の規制強化:何が変わったのか

2024年に宅地建物取引業法施行規則等が改正され、2025年1月から次の運用が始まりました。

  1. 売主がレインズの登録内容を直接確認できる仕組みの徹底:専任媒介・専属専任媒介では、会社はレインズ登録時に発行される登録証明書を売主に交付する義務があります。この証明書に記載されたID・パスワードで、売主専用の確認画面にログインし、自分の物件の取引状況(ステータス)をいつでも確認できます
  2. ステータスの正確な登録の義務化:レインズ上の取引状況は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の区分で管理され、実態と異なる登録(申込みがないのに「申込みあり」にする等)が禁止されます
  3. 囲い込みが行政処分の対象であることの明確化:虚偽のステータス登録などの囲い込み行為が確認された場合、宅建業法に基づく指示処分の対象となることが監督処分の運用上明確化されました

制度の枠組みは、国土交通省の宅地建物取引業法関係のページ(解釈・運用の考え方、監督処分基準)で確認できます(出典: 国土交通省 宅地建物取引業法関係)。

規制強化で悪質な手口はやりにくくなりました。ただし「ステータスは公開中のまま、他社の問い合わせ電話にだけ嘘をつく」タイプの囲い込みは外部から検知しづらく、制度だけでは根絶できません。だからこそ次の「見抜き方」が重要になります。

見抜き方1:レインズ登録証明書とステータスを自分で確認する

最初にして最大のチェックポイントです。

  • 専任媒介なら契約から7営業日以内、専属専任なら5営業日以内にレインズ登録義務があります。登録証明書を受け取っていないなら、その時点で要注意です
  • 証明書のID・パスワードで売主専用確認画面にログインし、掲載内容とステータスを確認します。申込みが入っていないのに「書面による購入申込みあり」になっていたら、囲い込みの強い兆候です
  • 「売主都合で一時紹介停止中」は、本来あなたが依頼したときだけ使われるステータスです。依頼した覚えがないのに設定されていたら、即座に説明を求めてください

確認は月1回程度、売り出し直後と反響が鈍いと感じたときは随時行うのがおすすめです。

見抜き方2:販売報告の「中身」を精査する

専任媒介では2週間に1回以上、専属専任では1週間に1回以上の業務報告が義務です。見るべきは回数ではなく中身です。

  • ポータルサイトの閲覧数・お気に入り数・問い合わせ数の推移が数字で示されているか
  • 他社からの問い合わせ・紹介依頼の件数が報告されているか。囲い込みをしている会社は、この項目を報告したがりません
  • 「反響が少ない」と言われたら、根拠データ(掲載媒体と各媒体の反響数)の提示を求める

報告義務への違反が続く場合は、媒介契約の解除事由にもなります。手順は媒介契約は途中で解除できる?で解説しています。

見抜き方3:他社経由の「確認テスト」

疑いが強い場合の最終確認です。知人に協力してもらい、別の不動産会社を通じてあなたの物件への内覧を申し込んでもらいます。あなたには「申込みが入っている」と説明されているのに、他社経由の内覧希望が「対応可能」と返ってくる、あるいは逆に、あなたが止めていないのに「売主都合で紹介停止中」と断られたら、説明の矛盾が確定します。矛盾の記録(日時・担当者名・説明内容)を残しておくと、その後の解除交渉や行政相談で有力な材料になります。

予防策:契約前にできること

  • 一般媒介を検討する:複数社に同時依頼すれば、1社が情報を止めても他社経由の販路が生きています。囲い込みの構造的な予防策として有効です。ただし各社の力の入れ方が下がる面もあり、物件と市況次第です。3種類の使い分けは媒介契約の3種類をご覧ください
  • 契約前に質問する:「両手仲介の比率はどのくらいですか」「他社からの紹介は制限なく受けますか」「登録証明書はいつもらえますか」。この3つの質問への反応で、会社の姿勢はかなり分かります
  • 囲い込みをしない宣言を記録に残す:メールで確認しておくと、後日の抑止力になります

それでも疑わしいとき:相談先と対処

  1. 会社の責任者に書面で説明を求める:担当者個人ではなく会社として回答させます
  2. 媒介契約の解除:囲い込みは依頼者への背信行為であり、催告のうえの解除事由になり得ます
  3. 免許行政庁に相談する:不動産会社の免許は国土交通大臣または都道府県知事が出しています。免許番号(「○○県知事(3)第12345号」等)で行政庁が分かり、都道府県の宅建業指導担当窓口に相談・申告できます。行政処分は公表されるため、業者への抑止力は小さくありません
  4. 宅建協会・保証協会の相談窓口:多くの業者が加入する業界団体にも苦情解決の窓口があります

よくある質問

Q. 両手仲介はすべて悪いのですか?

いいえ。自社の購入希望者と自然にマッチングした両手仲介は正当な取引で、売主にとっても早期成約というメリットがあります。問題は「両手にするために他社を排除する」行為だけです。区別のポイントは、他社経由の紹介を受け入れているかどうかです。

Q. 一般媒介にすれば囲い込みは完全に防げますか?

構造的には防ぎやすくなりますが、万能ではありません。一般媒介はレインズ登録が義務でないため、各社が登録せず情報の広がりがかえって限定されることもあります。一般媒介にする場合も、少なくとも1社にはレインズ登録を依頼し、登録証明書を受け取るのがおすすめです。

Q. 大手なら囲い込みの心配はありませんか?

会社の規模と囲い込みの有無は直結しません。むしろ自社顧客の多い会社ほど両手仲介の機会が多いという構造もあります。規模ではなく、ステータス確認・報告の透明性・契約前の質問への回答で判断してください。

Q. 囲い込みされていた期間の損害賠償は請求できますか?

法律上は債務不履行等を理由とする損害賠償の可能性がありますが、囲い込みと損害(売れなかったこと)の因果関係の立証は簡単ではありません。まずは記録を残し、弁護士や都道府県の相談窓口にご相談ください。本記事は一般的な解説であり、個別の法的判断は専門家にご確認ください。


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※税額は個別の事情で変わります。最終判断は税理士・税務署にご確認ください。

この記事について

本記事は、不動産売却情報メディア URUMAE 編集部が公表されている制度・法令に基づいて執筆・編集しています。 制度・税率は執筆時点の情報です。個別の税務相談は税理士にご相談ください。

運営者は宅地建物取引士。不動産業界での実務経験15年。

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