売却の方法

マンション売却時の管理費・修繕積立金はどう精算する?日割り計算と滞納の注意点

マンションの室内で精算を考える書類と電卓(写真風のAI生成画像)
写真風のAI生成画像です。書類は模式表現で、実際の精算書ではありません。

売却したら、積み立てたお金は戻るのでしょうか?

「毎月払った修繕積立金は、家を売ると返してもらえる?」。ここは、過去の積立金と、引渡し月の費用を分けて考えます。日割り精算は、売主と買主の間で負担を調整するものです。

管理組合に積み立てたお金を取り崩して、売主へ返す手続きではありません。また、日割りの基準日や計算方法は売買契約で確認します。全国一律に法律で同じ計算が決まっているわけではありません。

過去の積立金・引渡し月の精算・滞納金は、別々に確認します。決済前にこの3項目を整理すると、受け取るお金と支払うお金を混同せずに済みます。

日割り精算は、契約の条件に合わせて計算します

売主が支払った月額費用のうち、買主が負担すると合意した期間分を受け取る形なら、次の項目を精算書で確かめます。

確認する項目決めておく内容
負担の切替日引渡し当日はどちらが負担するか
対象の費用管理費・修繕積立金・使用料等の範囲
日数と端数実日数か、端数をどう処理するか
支払済みの期間何月分まで売主が納めているか
振替の切替え売主の最終引落しと買主の初回支払

たとえば、管理費と修繕積立金の合計が月31,000円で、10月22日引渡しとします。10月分は売主が支払済み、実日数31日で計算し、引渡し当日から買主負担と合意した例です。

1日分は31,000円÷31日=1,000円。売主は1〜21日の21日分で21,000円、買主は22〜31日の10日分で10,000円です。したがって、この条件なら売主が買主から受け取る精算金は10,000円となります。

ただし、翌月分まで売主口座から引き落とされる場合は、この計算だけでは足りません。管理会社に対象月と最終引落日を確認し、二重払い・未払いが出ないよう精算書に反映します。

引渡し日が変われば日数も変わります。署名済みの契約条件を基に再計算し、変更後の明細を双方で確認してください。マンション売却の費用と合わせて、決済時の受取額を整理できます。

過去の修繕積立金は、通常の売却では返還されません

修繕積立金は、マンションの修繕等に備える資金です。国土交通省の標準管理規約60条7項は、納めた管理費等の返還・分割請求を認めていません。

標準管理規約はひな形なので、自分のマンションの規約も確認します。「売却したから過去20年分を返してもらう」とは考えないでください(出典:国土交通省・標準管理規約)。

また、積立残高の多さだけで、売却価格は決まりません。予定工事の費用や時期、借入れ、一時金の決議と合わせて見る必要があります。総会資料と長期修繕計画をそろえ、買主が購入後の負担を判断できるようにします。

滞納金は、買主だけの問題になるという誤解に注意します

区分所有法8条は、一定の債権を特定承継人にも請求できると定めています。管理費等の滞納は、買主への請求につながります。売却すれば売主の滞納が消える、という意味ではありません。

売主・買主の精算の合意と、管理組合が持つ請求権は別です。買主との間で負担を決めただけで、管理組合への支払いが済んだことにはなりません(出典:区分所有法7・8条)。

滞納がある場合は、仲介会社へ早めに伝えます。管理組合側に元本、遅延損害金等、支払予定日までの総額を確認し、誰がいつ振り込むかを決めます。決済代金から支払うなら、ローン返済や諸費用を引いて資金が足りるかも確認します。

管理費の額だけでなく、滞納の有無や値上げ決議も重要事項調査報告書等で照合します。報告書の発行後に追加請求や決議がないか、決済前の確認も必要です。

届出と使用契約まで確認して、精算を終えます

管理会社に、所有者変更の届出、口座振替の切替え、駐車場・駐輪場の手続きを確認します。引っ越しただけでは、所有者としての費用や使用契約が自動的に終了するとは限りません。

標準管理規約15条は、住戸を譲渡したときに駐車場使用契約が効力を失うとしています。実際の規約・使用契約を確認し、「駐車場もそのまま使える」と約束する前に、買主の申込み条件を調べます。

精算書では管理費等と固定資産税等を別の行にします。国税庁が未経過固定資産税等の精算金を譲渡収入とする説明を、管理費等にそのまま当てはめることはできません。申告時は各明細と契約を示して確認します。

税の説明は国税庁の質疑応答、費用全体は売却手取り計算ツールで確認できます。最後に、支払記録と精算書を一緒に保管します。

決済前に、対象月と負担者を明細で合わせる

よくある質問

Q. 日割り精算金は必ずもらえますか?

契約の取り決めと支払状況によります。基準日、対象費用、端数処理を契約前に確認します。管理組合が売主・買主へ直接日割り請求するとは限りません。

Q. 翌月分も売主口座から引き落とされたら?

管理会社に対象月と買主側の支払状況を確認します。二重徴収の返金なのか、売主・買主間の追加精算なのかを整理してから処理してください。

Q. 値上げや一時金は誰が負担しますか?

管理規約・決議の内容、支払期日、売買契約の合意を確認します。売却前に決まったという理由だけで負担者を決めず、買主への説明と契約上の分担を明確にします。

※2026年10月24日更新:日割り条件、滞納の責任、固定資産税の説明を管理費へ転用した税務記述を修正しました。

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本記事は、不動産売却情報メディア URUMAE 編集部が公表されている制度・法令に基づいて執筆・編集しています。制度・税率は執筆時点の情報です。個別の税務相談は税理士にご相談ください。

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