同じ棟の最安値に合わせる前に、別の部屋か確かめます
「同じ棟に5件も広告がある。値下げしないと売れない?」。しかし、広告5件が5戸の売出しとは限りません。同じ住戸を複数の会社が広告している場合があるからです。まず重複を確かめ、条件の近い住戸と比べます。
同じ棟なら立地や築年数は比較しやすい一方、階数・向き・室内の状態・引渡し時期には違いがあります。「安い部屋が出た」という理由だけで価格を合わせると、条件差を検討する前に値下げしてしまいます。
比較表には価格だけでなく、面積と状態を入れます
担当者へ「同じ棟の別住戸で、条件が近いものを並べてください」と依頼します。広告の写真や間取りが似ていても別住戸の可能性はあるため、自分だけで重複を断定しないことも大切です。
| 比較する項目 | 確かめたい違い |
|---|---|
| 専有面積・間取り | 総額と1㎡当たりの単価の両方 |
| 所在階・向き・眺望 | 日当たり、前の建物、道路との位置 |
| 室内の状態 | 改修した場所・時期、設備の状態 |
| 入居と引渡し | 居住中か空室か、引渡し可能な日 |
| 情報の種類と日付 | 現在の売出価格か、過去の成約価格か |
売出価格は売主の希望を含み、実際に売れた成約価格とは異なります。成約例も古いものや広さの違う住戸なら、そのまま自宅の価格にはできません。査定の根拠を聞く際は、比較事例との違いをどう調整したかまで確認します。
価格の基本的な見方はマンション売却の相場を調べる方法でも扱っています。上層階や改修済みなら高く売れる、という一律の加算率は使いません。
120万円下げると、手数料を差し引いた差は約116万円
同じ70㎡の住戸を3,000万円で売る場合と、4%下げて2,880万円で売る場合の仮定例です。売買代金に消費税がかからない個人の自宅売却で、課税事業者の仲介手数料を上限額で支払うとします。
| 売却価格 | 仲介手数料だけを引いた金額 |
|---|---|
| 3,000万円 | 2,894万4,000円(手数料105万6,000円) |
| 2,880万円 | 2,778万3,600円(手数料101万6,400円) |
この例の手数料上限は「(売買価格×3%+6万円)×1.1」です。東京都の取引の手引きの簡易計算法で検算すると、差は120万円−3万9,600円=116万400円になります。
税金、登記費用、住宅ローン返済などは引いていないため、表は最終的な手取り額ではありません。
また手数料は定額ではなく上限であり、実際の額は依頼時に合意します(国土交通省)。
価格を下げれば何か月早く売れるかは、この計算では分かりません。月々の維持費だけを根拠に「長く待ったほうが得」とも判断できず、住み替え期限や将来の相場も関係します。
値下げ・見せ方の改善・待つ場合を分けて考えます
まず、自分の物件の問い合わせと内覧後の反応を担当者に聞きます。問い合わせが少ないのか、内覧はあるが申込みに進まないのかで、確かめる点が違います。
- 写真や説明が不足:改修箇所、収納、窓の外など、判断に必要な情報を追加する
- 引渡し条件が合わない:変更できる範囲と、変更できない期限を整理する
- 条件の近い住戸と価格差がある:価格差の根拠と、見直した場合の受取額を比べる
写真には実際の状態を示します。片付けた範囲や修繕履歴を正しく説明し、画像加工で傷や眺望の障害物を消してよく見せないことも必要です。売り出す前の準備を点検してから、価格変更の案を比べてください。
待てば有利になるとは限らない点に注意します
待つ場合も「競合が売れれば自分は高く売れる」とは限りません。新たな売出しが増える可能性もあります。次に見直す日を決め、管理費・修繕積立金などの維持費と住み替え日程を確認します。
件数だけで焦らず、条件差と自分への反応で判断。
担当者には、次回報告までに確かめる項目と、価格を見直す条件を具体的に伝えてください。
※2026年10月25日更新:旧版の67.6%は掲載データの割合で、競合住戸の割合ではありません。2026年9月23日の訂正を維持し、今回その集計を本文から外しました。
よくある質問
Q. 同じ棟に売り物件が多いと、欠陥があるのでしょうか?
件数だけでは分かりません。理由を推測で決めず、管理費の変更や修繕予定など、確認できる資料と個別の事情を分けて考えます。
Q. 他の部屋が値下げしたら、すぐ追随しますか?
条件差、自分の販売状況、売却期限を確認して決めます。問い合わせが止まるまで待てば間に合う、とも一律にはいえません。
Q. 同じ会社が別の部屋を扱っていても依頼できますか?
その状況を確認したうえで、販売計画と報告方法を聞きます。他の部屋を扱うことだけで、あなたの物件が優先される・されないとは判断できません。

