相続2026年5月21日

親が亡くなったら家はどうする?相続登記から売却までの期限一覧【2026年版】

相続実家相続登記空き家相続放棄

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結論:まず期限のある手続きを片付け、家は「3年以内」を目安に方針を決めてください

親が亡くなったあとの実家は、感情の整理がつかないまま「とりあえずそのまま」にしてしまいがちです。しかし先に結論をお伝えすると、家に関する手続きには法律上の期限が並んでおり、放置は選択肢としていちばん損です。

特に重要な期限は4つです。相続放棄をするなら3か月以内、親に事業所得や不動産所得があれば準確定申告が4か月以内、相続税の申告・納付が10か月以内、そして2024年4月から義務化された相続登記(不動産の名義変更)が3年以内です。さらに、売却して税制の優遇(相続空き家の3,000万円特別控除など)を使う場合も「相続から3年」を意識したスケジュールが軸になります。

つまり実務の順番は、①期限つき手続きを先に処理 → ②家を「住む・貸す・売る」のどれにするか10か月以内を目安に方針決定 → ③売るなら3年以内の引き渡しを目指す、です。本記事では、手続きのタイムライン、4つの選択肢の比較、放置のリスク、売却の流れまでを一気に整理します。


死亡後の手続きタイムライン一覧【期限つき】

まず全体像です。家に直接関係するものを太字にしています。

【図表1:死亡後の手続き期限(7日死亡届→3か月相続放棄→4か月準確定申告→10か月相続税→3年相続登記)出典:法務省・国税庁・裁判所】
期限手続き提出先など
7日以内死亡届の提出市区町村役場
14日以内年金・健康保険・世帯主変更の届出年金事務所・役場
3か月以内相続放棄・限定承認の申述家庭裁判所
4か月以内準確定申告(親に申告すべき所得があった場合)税務署
10か月以内相続税の申告・納付(基礎控除を超える場合)税務署
なるべく早く遺言書の確認・遺産分割協議・家の名義の方針決定相続人間
3年以内相続登記の申請(義務)法務局

根拠を補足します。相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」に家庭裁判所へ申述します(出典: 裁判所 相続の放棄の申述)。実家が古く、親に借金がある可能性があるなら、この3か月が最初の分岐点です。放棄すると家も相続できなくなるため、財産と負債の全体を早く把握する必要があります。

準確定申告は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内(出典: 国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告)、相続税は死亡を知った日の翌日から10か月以内です(出典: 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税)。相続税には基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)があるため、かからない家庭も多いのですが、都市部に実家があると超えるケースは珍しくありません。

そして相続登記です。2024年4月1日から申請が義務化され、不動産を相続で取得したと知った日から3年以内に登記しなければ、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。義務化前に相続した未登記の不動産も対象で、こちらは2027年3月31日までの猶予です(出典: 法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A)。「祖父名義のままの実家」に心当たりがある方は、今回の相続とあわせて早めに法務局や司法書士に相談してください。

家をどうするか:住む・貸す・売る・放置の4択比較

期限つき手続きと並行して、家そのものの方針を決めます。選択肢は実質4つです。

選択肢向いているケースメリットデメリット
住む実家に戻る予定がある住居費の圧縮。家が傷まない立地・広さが生活に合わないことも
貸す立地がよく賃貸需要がある家賃収入。資産を残せる修繕・リフォーム費用、管理の手間、空室リスク
売る誰も住む予定がない現金化して分けやすい。維持費ゼロに思い出との決別。売却まで数か月かかる
放置(推奨できません)目先の手間がない維持費・倒壊リスク・特定空家・税優遇の期限切れ

判断の軸はシンプルで、「10年後、この家に家族の誰かが住んでいる絵が描けるか」です。描けないなら、貸すか売るかの二択になります。貸す場合は、築古の実家だとリフォームに数百万円かかることが多く、家賃で回収できるかの収支計算が必須です。相続人が複数いる場合、家を残すと「分けられない資産」が残り続けるため、将来の兄弟間トラブルの火種になりやすい点も考慮してください。現金化して分けやすいことは、売却の大きな利点です。

「放置」だけは選んではいけない理由

4択の中で明確にお伝えしたいのは、放置のリスクです。

  • 維持費は住んでいなくてもかかる:固定資産税・火災保険・光熱費の基本料・庭木の手入れなどで、年間数十万円規模になることもあります
  • 特定空家に指定されるリスク:管理されていない空き家は、空家等対策特別措置法にもとづき市区町村から「特定空家」(倒壊の危険や衛生上の問題がある空き家)に指定されることがあります。勧告を受けると、住宅用地の特例(固定資産税の課税標準を最大6分の1にする軽減)が解除され、固定資産税が最大で約6倍に跳ね上がります。2023年の法改正では、その手前の「管理不全空家」も指導・勧告の対象になりました
  • 管理責任は所有者にある:台風で屋根材が飛んで隣家や通行人に損害を与えれば、賠償責任を負うのは所有者です。誰も住んでいなくても責任だけは残ります
  • 税優遇の期限が切れる:後述の相続空き家の3,000万円特別控除は「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」の譲渡が要件です。放置しているうちに使えなくなります
  • 家は空けたまま傷む:換気されない家は湿気で急速に劣化し、資産価値が下がっていきます

「いつか考えよう」の数年が、税優遇と資産価値の両方を失わせる。これが放置の実態です。

売る場合の流れと税金の優遇

売却を選んだ場合の流れは次のとおりです。

  1. 遺産分割協議で家の取得者(または換価分割の方針)を決める
  2. 相続登記で名義を相続人に変更する(亡くなった親の名義のままでは売却できません)
  3. 査定を受けて売出価格を決め、媒介契約を結ぶ
  4. 売却活動・内覧対応・売買契約
  5. 引き渡し・代金受領、翌年に確定申告

税金面では、要件を満たせば相続空き家の3,000万円特別控除が使えます。昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震の家屋で、相続から譲渡まで空き家であったこと、耐震改修または取り壊して売ることなどが主な要件です(2027年12月31日までの譲渡が対象。相続人が3人以上の場合は控除額2,000万円。出典: 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)。また、相続税を納めた方は、申告期限から3年以内の売却で相続税額の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」もあります(両特例は併用できません)。

計算例で効果を確認しましょう。相続した実家(親の所有期間を引き継ぎ長期譲渡)を1,800万円で売却、購入時の契約書が見つからず取得費は概算取得費(売却価格の5%=90万円)、譲渡費用は仲介手数料66万円(1,800万円×3%+6万円=60万円、税込66万円)+印紙税1万円の計67万円とします。

  • 譲渡所得:1,800万円−90万円−67万円=1,643万円
  • 特例なしの税額:1,643万円×20.315%=約334万円
  • 空き家特例が使えた場合:1,643万円−3,000万円<0 → 課税譲渡所得0円、税額0円

同じ売却でも、特例の要件を満たすかどうかで手取りが334万円変わる計算です。要件の中には「売却前に耐震改修か取り壊し」「相続から譲渡まで貸していないこと」など、売り方を間違えると使えなくなる項目が含まれます。売却活動を始める前に、特例の適用可否を不動産会社と税理士に確認する順番を強くおすすめします。適用には確定申告と市区町村の確認書が必要で、個別の事情で判断が分かれるため、最終的には税理士・税務署にご確認ください。

実家売却の具体的な進め方は相続した実家を売る方法で、売る前の状態チェックは相続した実家のチェックリストで詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 親名義のままの家を売ることはできますか?

できません。売買契約の前提として、相続登記で相続人の名義に変更する必要があります。遺産分割協議がまとまらないと登記も進まないため、売却を考えるならまず話し合いを先行させてください。なお登記だけなら「相続人申告登記」という簡易な制度で義務を果たす方法もありますが、売却には結局、通常の相続登記が必要です。

Q. 兄弟で家を共有名義にして相続しても大丈夫ですか?

おすすめしません。共有名義の不動産は、売却にも大規模な修繕にも共有者全員の同意が必要で、世代が進むほど共有者が増えて身動きが取れなくなります。売って現金で分ける(換価分割)か、1人が取得して他の相続人に代償金を払う(代償分割)方が、後のトラブルは格段に少なくなります。

Q. 相続税の申告期限までに家の方針が決まりません。どうすれば?

相続税の申告・納付期限(10か月)は、家の売却を待ってくれません。納税資金が足りない場合は、期限内に申告したうえで延納などの制度を検討することになります。納税資金を売却代金で賄う予定なら、逆算して早期に売却活動を始める必要があります。

Q. 誰も相続したくない家です。相続放棄すれば管理しなくてよいですか?

相続放棄をしても、放棄時点でその家を現に占有していた場合は、次の管理者に引き渡すまで保存義務が残ります(2023年民法改正で範囲が明確化されました)。また放棄は3か月以内・全財産が対象で、家だけ放棄することはできません。預貯金など他の財産があるなら、相続したうえで売却し処分するほうが合理的なケースが多いです。


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※税額は個別の事情で変わります。最終判断は税理士・税務署にご確認ください。

この記事について

本記事は、不動産売却情報メディア URUMAE 編集部が公表されている制度・法令に基づいて執筆・編集しています。 制度・税率は執筆時点の情報です。個別の税務相談は税理士にご相談ください。

運営者は宅地建物取引士。不動産業界での実務経験15年。

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