相続

相続土地国庫帰属制度の費用と条件|150㎡の宅地で負担金はいくら?

住宅地の空き地と手前の境界を示す杭(写真風のAI生成画像)
写真風のAI生成画像です。実在の申請地や国庫帰属が承認された土地ではありません。

「国に渡せるか」と「いくら払うか」を分けて確認します

「相続した土地は、20万円払えば国に渡せるの?」。相続土地国庫帰属制度は選択肢の一つですが、土地の状態に条件があり、費用も一律ではありません。

土地を国が買い取る制度ではありません。申請者が審査手数料と負担金を払い、必要なら建物撤去などの費用も負担します。

先に解体してから対象外と分かると、支出を取り戻せません。まず申請資格と土地の状態を法務局へ相談し、売却する場合の条件も並行して確かめるのが現実的です。

過去の処理結果の割合から、自分の土地が承認される確率は分かりません。取下げや審査中の案件もあり、「不承認の割合が低いから、ほぼ通る」とは判断しないでください。

申請できる人と、引き取れない土地の条件

原則として、相続または相続人への遺贈で土地を取得した人が申請できます。共有地は全員で申請しますが、共有者のうち1人が相続等で持分を取得していれば、売買などで取得した他の共有者も共同申請できます。

主な対象外の例は次のとおりです。建物などは申請段階の却下要件、管理を妨げる地上物などは審査で判断する不承認要件に分かれます。

土地の状態確認する点
建物が残る古い空き家でも、建物がある土地は申請できない
抵当権・賃借権などがある権利を解消できるか確認する
現に通路として使われている他人の利用状況を調べる
境界が不明、所有権に争いがある認識する範囲や隣地との争いを確認する
地上物・地下埋設物がある通常の管理・処分を妨げる物かが問題になる

樹木や地中の物が少しでもあれば一律に不承認、という基準ではありません。

崖や土壌汚染などにも別の条件があり、この表だけで適否は確定できません(出典:相続土地国庫帰属法2・5条)。

境界は、法務局が隣接地の所有者にも確認します。古い図面と現況の違い、越境や争いの有無を、相談時に隠さず伝えてください(参考:財務省・審査の事務取扱資料)。

「負担金は20万円一律」という誤解に注意してください

審査手数料は土地1筆につき14,000円です。承認後には、10年分の標準的な管理費を考慮して算定する負担金を納めます。「1筆」は登記上の土地の単位なので、見た目が一続きでも複数筆の場合があります。

土地の区分負担金の考え方
市街化区域内の宅地など面積に応じて算定
特定の区域内の農地面積に応じて算定
森林面積に応じて算定
上記以外20万円

宅地の面積算定は、市街化区域内のほか、区域区分のない都市計画区域では用途地域内が対象です。農地は市街化区域等、農用地区域、土地改良事業等の施行区域かを確認します。「地方の土地なら広くても20万円」とは限りません。

土地の種目は登記上の地目だけで決めつけず、現況も含めて法務局へ確認してください。隣接する同一区分の複数筆を、申出により1筆とみなして負担金を計算する特例もあります(出典:同法施行令3・5・6条)。

150㎡の宅地なら、手数料と負担金で68万4,000円の例

市街化区域内の宅地150㎡・1筆で、面積算定の対象になると仮定します。100㎡超200㎡以下の式は「面積×2,450円+303,000円」です。

  • 150×2,450+303,000=670,500円
  • 千円未満を切り捨て、負担金は670,000円
  • 審査手数料14,000円を加え、合計684,000円

この金額に、必要な解体・残置物撤去・書類作成などの費用が加わります。仮に準備費用が150万円なら総額218万4,000円ですが、150万円は計算用の仮定で、解体相場や見積額ではありません。

敷地条件や建物の規模によって準備費用は変わります。解体する範囲と残す物を明記した見積書を取り、制度上の負担金と工事費を分けて積み上げてください。

解体を決める前に、売却と同じ条件で比べます

不動産会社には「建物を残したまま売れるか」「売主が解体する必要があるか」「価格から費用を引くといくら残るか」を確認します。比較は査定額だけでなく、実際に必要となる支出をそろえて行います。

国庫帰属側は手数料・負担金・準備費用、売却側は売却代金から仲介手数料・必要な工事費・税金などを引いた額で比べます。売りに出すことは制度利用の法的な前提条件ではありません。価格だけでなく、売却の見込みや管理を続ける負担も判断材料です。

手順は土地売却の流れと税金を参照してください。相続放棄は制度の目的や手続きが異なるため、混同しないでください。相談には登記事項証明書、地図、現地写真、相続を示す資料を用意し、共有者の意向も確認しておくと話を整理できます。

解体の前に、対象条件と費用を確かめる

よくある質問

Q. 自分の共有持分だけを国に渡せますか?

できません。共有者全員で土地全体について申請する必要があります。

Q. 建物を壊せば必ず承認されますか?

保証されません。権利関係、境界、地下埋設物なども審査されます。解体契約を結ぶ前に、対象となる見込みと必要な対応を法務局へ相談してください。

Q. 承認された日に所有権が移りますか?

負担金を納付した時点で国に移ります。通知を受けた日から30日以内に納付しなければ承認は失効します。通知書に記載された納付期限を確認してください。

※2026年10月24日更新:統計を承認確率と受け取れる説明、共有者の申請資格、費用例の前提を修正しました。

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本記事は、不動産売却情報メディア URUMAE 編集部が公表されている制度・法令に基づいて執筆・編集しています。制度・税率は執筆時点の情報です。個別の税務相談は税理士にご相談ください。

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