状況別2026年5月28日

住み替えは売り先行と買い先行どっち?5つの比較軸と順番の決め方【判断フローつき】

住み替え売り先行買い先行つなぎ融資買い替え特約

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結論:資金に余裕がなければ「売り先行」が原則です

住み替え(今の家を売って新しい家に移ること)の順番は、手元資金に余裕がないなら売り先行、資金に余裕があり買いたい物件が明確なら買い先行が原則です。

理由はシンプルで、売り先行は「いくらで売れたか」が確定してから新居の予算を決められるため、資金計画が狂わないからです。家の売却価格は、実際に売れるまで確定しません。査定額より数百万円低く売れることは珍しくなく、買い先行で新居を先に契約してしまうと、その差額を自己資金や追加借入で埋めるしかなくなります。

一方で売り先行には「仮住まい」という代償があります。売却の引渡しから新居への入居までの期間、賃貸住宅などに一時的に住む必要があり、家賃と引越し2回分の費用がかかります。この代償を実務の工夫(引渡し猶予・売り買い同時進行)でどこまで小さくできるかが、住み替え成功の分かれ目です。本記事では、住み替えで一般的に使われている判断基準と実務的な工夫を解説します。


売り先行と買い先行の比較表:5つの軸で見る

比較軸売り先行買い先行
資金計画の確実性高い。売却額確定後に新居予算を決められる低い。売却額が読みどおりでないと計画が崩れる
仮住まい必要になりやすい(家賃+引越し2回分)不要。今の家から新居へ直接移れる
売却価格の妥協リスク低い。腰を据えて売却活動できる高い。新居の支払期限に追われ値下げしやすい
新居選びの余裕少ない。仮住まい期間を延ばしたくない心理が働く多い。納得いくまで探せる
ダブルローンの可能性原則なしあり。旧居ローンが残ると二重返済・審査も厳しい

まとめると、売り先行は「お金の失敗」を防ぎ、買い先行は「暮らしの負担」を防ぐ選び方です。どちらの失敗がより致命的かを考えると、多くのご家庭では資金の失敗の方が取り返しがつきません。上位の解説記事の多くも売り先行推奨で一致していますが、現場感覚でも同意見です。

判断フロー:あなたはどちら向きか

次の順番で考えると、ほとんどのケースで答えが出ます。

  1. 今の家に住宅ローンが残っていて、完済に売却代金が必要 → 売り先行が原則。売却額が確定しないと新居のローン審査も組み立てられません(残債がある家の売り方は住宅ローンが残っている家は売れる?で解説しています)
  2. ローンは完済済み、または残債を上回る貯蓄がある → 買い先行が選択肢に入ります。旧居の売却を急がずに済むため、価格の妥協リスクも下がります
  3. 注文住宅や新築マンション(完成まで期間がある)に住み替える → 実質的に買い先行になります。完成時期に合わせて売却を逆算し、つなぎ資金の要否を早めに確認します
  4. 人気エリアで「今の家がすぐ売れる」見込みが高い → 買い先行でも売却が長引くリスクが小さいため、買い先行の許容度が上がります

迷ったら、「新居を契約した後、今の家が査定額より2割安くしか売れなかったら家計はどうなるか」を試算してください。それでも耐えられるなら買い先行、耐えられないなら売り先行です。

実務テクニック:売り買い同時進行で仮住まいを回避する

「売り先行=必ず仮住まい」ではありません。実務では、売却を先に進めつつ購入を並行させ、引渡しのタイミングを調整することで、仮住まいなしの住み替えを目指せます。代表的な道具が次の2つです。

引渡し猶予:売った後も一定期間住まわせてもらう

引渡し猶予とは、売買代金の決済後も数日〜1週間程度、売主が旧居に住み続けることを買主に認めてもらう特約です。旧居の決済で得た資金を新居の決済に充て、新居の鍵を受け取ってから引っ越す、という流れを1週間以内に収められれば、仮住まいは不要になります。ただし買主にとっては「代金を払ったのに引き渡されない」期間が生じるため、応じてもらえるかは交渉次第です。買主が住宅ローンを使う場合、金融機関が長期の猶予を認めないこともあり、実務上は短期間に限られます。

買い替え特約:売れなかったら新居の契約を白紙にできる

買い替え特約とは、新居の購入契約に「期日までに今の家が〇〇万円以上で売れなかった場合、この契約を白紙解除できる」という条件を付けるものです。白紙解除なら手付金は返還され、違約金もかかりません。買い先行の最大リスクを消せる強力な特約ですが、売主(新居の売主)にとっては売れるかどうかわからない契約になるため、新築分譲や販売中の物件在庫を持つ不動産会社が売主のケースでは応じてもらえることがある一方、個人が売主の中古物件ではまず通らないのが実情です。

つなぎ融資と住み替えローン:資金の時間差を埋める借入

購入と売却の決済時期がずれる場合の資金手当てとして、2種類の借入があります。

種類何のための借入か注意点
つなぎ融資旧居の売却代金が入る前に新居の支払いが来るときの短期の立て替え金利が高め。旧居の売却完了時に一括返済。売却が長引くと利息と延長リスクが膨らむ
住み替えローン旧居ローンの残債不足分を新居ローンに上乗せして借りる担保価値を超える借入のため審査が厳しい。売却と購入の決済を同日にする必要がある

つなぎ融資は「時間差」を埋める道具、住み替えローンは「金額差」を埋める道具です。どちらも便利ですが、借入額と利息が増える分だけ住み替え後の家計は重くなります。実際の住み替えでは、つなぎ融資を前提にした計画より、多少不便でも短期の仮住まいを挟む方が総費用が安く済んだケースが少なくありません。仮住まい費用(家賃3か月+引越し2回で50万〜100万円程度が目安)と、つなぎ融資の利息・手数料を必ず両建てで見積もって比較してください。

計算例:売り先行の資金計画(3,500万円で売却・残債1,800万円)

  • 売却価格:3,500万円
  • 仲介手数料:3,500万円×3%+6万円=111万円、税込122.1万円
  • 印紙税・抵当権抹消関係:約4万円
  • ローン残債の返済:1,800万円
  • 仮住まい費用(家賃月10万円×4か月+引越し2回):約70万円

手元に残る資金は3,500万円−122.1万円−4万円−1,800万円−70万円=約1,504万円。これが新居の頭金・諸費用の原資として「確定した数字」で使えるのが売り先行の強みです。買い先行なら、この1,504万円が「たぶんこれくらい」のまま新居を契約することになります。

住み替えで使える税制を一言で

住み替えでは税制の選択も手取りに影響します。ポイントは2つです。

  • 売却で損失が出た場合:マイホームを買い換えて譲渡損失が出たときは、要件を満たせば損失を給与所得などと損益通算し、引き切れない分を翌年以後3年間繰り越せる特例があります(出典: 国税庁 No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき)。新居で住宅ローン控除との併用も可能な、住み替えに手厚い制度です
  • 売却で利益が出た場合:3,000万円特別控除(出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例)で無税になるケースが多い一方、この控除と新居の住宅ローン控除は併用できません。どちらが得かは譲渡益の額とローン残高・年数で変わるため、契約前に試算が必要です

適用要件や期限は改正されることがあるため、個別の判断は税理士・税務署にご確認ください。

よくある質問

Q. 売り先行で、売れる前に良い物件が見つかってしまったら?

住み替えで最も多い「事故」がこのパターンです。冷静な判断基準はただ一つ、その物件を逃しても家計が壊れないか、その物件を買って売却が長引いても家計が壊れないかの比較です。買い替え特約が付けられるなら購入に進む価値がありますが、特約なしで飛びつくのは、査定額どおりに売れる保証がない以上おすすめしません。

Q. 仮住まいの賃貸は借りにくいと聞きましたが本当ですか?

短期解約前提の入居は敬遠されることがあり、礼金・仲介手数料を考えると割高です。ただしURやマンスリーマンション、定期借家(期間の決まった賃貸契約)など短期向きの選択肢もあります。荷物を減らしてトランクルームを併用すると、仮住まいを小さい部屋にでき費用を抑えられます。

Q. 同じ不動産会社に売却と購入を両方頼むべきですか?

同時進行の決済調整(引渡し猶予の交渉や決済日の同日設定)は、売り買いを1社が把握している方が段取りしやすいのは事実です。一方、売却力と紹介物件は会社によって差があります。売却は複数社の査定で比較して選び、その会社に購入の相談もしてみる、という順番が現実的です。

Q. 今の家の売却諸費用はどれくらい見ておけばいいですか?

売却価格の4〜6%程度が目安です。内訳と支払時期はマンション売却の諸費用 全一覧にまとめています。住み替えではこれに購入側の諸費用(物件価格の3〜8%程度)と引越し費用が加わる点にご注意ください。


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※税額は個別の事情で変わります。最終判断は税理士・税務署にご確認ください。

この記事について

本記事は、不動産売却情報メディア URUMAE 編集部が公表されている制度・法令に基づいて執筆・編集しています。 制度・税率は執筆時点の情報です。個別の税務相談は税理士にご相談ください。

運営者は宅地建物取引士。不動産業界での実務経験15年。

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