費用・税金2026年4月12日

3,000万円特別控除とは?適用条件・必要書類・使えないケースを完全解説【2026年版】

3000万円特別控除マイホーム売却譲渡所得税確定申告節税

最終更新:

結論:マイホームの譲渡益3,000万円までは税金ゼロ。最大約610万円の節税になります

3,000万円特別控除(正式には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」)とは、マイホームを売却したときの譲渡益から最大3,000万円を差し引ける制度です。譲渡益が3,000万円以下なら譲渡所得税・住民税は0円になります。

節税インパクトを金額で言うと、長期譲渡(税率20.315%)で譲渡益3,000万円が出た場合、控除なしなら税額609万4,500円。この特例を使えば0円です。一つの制度で最大600万円超の差がつくため、マイホーム売却では「使えるかどうか」を最初に確認すべき制度と言えます。

一方で、「住まなくなってから時間が経ちすぎて期限切れ」「買い換え先の住宅ローン控除と両立できないことを知らなかった」というつまずきが多いと言われています。この記事では制度の中身だけでなく、使えないケースと併用の落とし穴を重点的に解説します。


節税インパクトを金額で見る

控除の効果は譲渡益の大きさで変わります。長期譲渡(所有5年超・税率20.315%)の場合で比較します。

譲渡益控除なしの税額3,000万円控除ありの税額節税額
500万円101万5,750円0円101万5,750円
1,000万円203万1,500円0円203万1,500円
2,000万円406万3,000円0円406万3,000円
3,000万円609万4,500円0円609万4,500円
4,000万円812万6,000円203万1,500円609万4,500円
【図表1:3,000万円特別控除の節税効果(譲渡益3,000万円なら約609万円の節税)出典:国税庁】

譲渡益が3,000万円を超える部分には通常どおり課税されますが、所有期間10年超なら控除後の金額に10年超所有の軽減税率14.21%を重ねて使えます。この2つは数少ない「併用できる組み合わせ」です。

適用条件:国税庁No.3302の要件をわかりやすく整理

適用要件は国税庁タックスアンサーNo.3302に定められています(出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例)。実務目線で言い換えると次のとおりです。

要件内容
自分が住んでいる家であること今住んでいる家屋、またはその家屋と敷地を一緒に売ること
住まなくなった場合の期限住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
直近2年に同種の特例を使っていない売った年の前年・前々年にこの特例やマイホームの譲渡損失の特例を使っていないこと
買換え特例などと重複しない売った年とその前後を通じて、マイホームの買換え・交換の特例を受けていないこと
売る相手が身内でない親子・夫婦など特別な関係のある人への売却でないこと

所有期間の長短は問われません。買って2年の家でも、住んでいた家なら対象です(税率は短期のままですが、控除で譲渡益自体を消せます)。

使えないケース:ここでつまずく人が多い

要件よりも大事なのが「ダメなパターン」です。国税庁が明示している適用除外と、実務で多いつまずきを挙げます。

親族間売買(特別関係者への売却)

売却相手が配偶者・直系血族(親・子・孫)、生計を一にする親族、同族会社などの場合は適用できません。「子どもに安く売って控除も使う」というプランは成立しないので注意してください。

住まなくなってから3年経過後の12月31日を過ぎた

引っ越し後に旧居を貸したり空き家にしたまま放置し、期限を過ぎてしまうケースです。たとえば2023年5月に転居した場合、期限は「3年を経過する日(2026年5月)の属する年の12月31日」=2026年12月31日です。この日までに引渡しまで完了させる必要があるため、期限の年に売る場合は販売期間を逆算して早めに動く必要があります。

特例を使うためだけの入居・仮住まい・別荘

控除を受ける目的で一時的に入居した家、新築期間中の仮住まい、別荘などの趣味・保養目的の家は対象外です。「住民票を移せばよい」という話ではなく、生活の実態で判断されます。

前年・前々年に特例を使った

この特例は「3年に1度」しか使えません。短期間に2つの物件を売る場合は、どちらで使うかの選択が必要です。

住宅ローン控除とは併用できません(買い換えの人は最重要)

見落としが最も多いのがここです。売却で3,000万円特別控除を使うと、新居の住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が使えなくなります。具体的には、新居に入居した年・その前2年・その後3年以内に旧居の売却でこの控除を使うと、住宅ローン控除の対象外になります。

つまり買い換えでは「旧居の3,000万円控除」と「新居の住宅ローン控除」のどちらか有利な方を選ぶことになります。判断の目安は次のとおりです。

  • 旧居の譲渡益が大きい(数百万円〜)→ 3,000万円控除が有利になりやすい
  • 旧居の譲渡益が小さい・ゼロに近い → 住宅ローン控除(借入額や年数によっては13年間で数百万円規模)を残す方が有利になりやすい

どちらが得かは譲渡益の額、新居の借入額・入居年で変わります。個別の事情で結論が逆転するため、買い換えの方は申告前に税理士か税務署に試算のうえ確認することをおすすめします。

共有名義なら1人3,000万円ずつ使えます

夫婦共有名義のマイホームなら、要件を満たす共有者それぞれが最大3,000万円の控除を使えます。

計算例で見てみます。夫婦2分の1ずつの共有名義の自宅を売却し、全体で4,600万円の譲渡益が出たとします。

  • 単独名義の場合: (4,600万円 − 3,000万円)× 20.315% = 325万400円の税額
  • 夫婦共有(各2分の1)の場合: 各自の譲渡益2,300万円 − 各自の控除3,000万円 → 夫婦とも税額0円

同じ家・同じ売却価格でも、名義のあり方で300万円以上の差が出るケースです。ただし控除が使えるのは「所有者として住んでいた人」なので、名義だけ入れて住んでいない家族には適用されません。

税額が0円になっても確定申告は必須です

この特例は、確定申告をして初めて適用されます。「控除で税金が0円だから申告不要」は誤りです。申告しなければ控除なしの譲渡益に対して課税され、後から税務署の指摘を受ける可能性があります。

申告時期は売却した翌年の2月16日〜3月15日。売却した年の年末調整では処理できません(会社員でも自分で申告が必要です)。

必要書類一覧

確定申告で必要になる主な書類です。

書類入手先
確定申告書(分離課税用の第三表を含む)税務署・国税庁サイト(e-Tax)
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)税務署・国税庁サイト
売却時の売買契約書のコピー手元保管
購入時の売買契約書のコピー手元保管(取得費の証明)
仲介手数料などの領収書手元保管(譲渡費用の証明)
登記事項証明書(売却物件)法務局
戸籍の附票の写しなど市区町村(売買契約日の前日時点で住民票の住所と売却物件の所在地が異なる場合)

購入時の契約書がないと取得費が売却価格の5%(概算取得費)とされ、譲渡益が大きく膨らみます。控除枠3,000万円を超えてしまう原因になるため、書類探しは売却準備と同時に始めてください。

計算例:譲渡益928万円のマンション売却

2018年に4,200万円で購入した自宅マンションを、2026年に5,000万円で売却したケースです。

  1. 収入金額: 5,000万円
  2. 取得費: 3,900万円(減価償却後と仮定)
  3. 譲渡費用: 172万円(仲介手数料171万6,000円ほか)
  4. 譲渡益 = 5,000万円 − 3,900万円 − 172万円 = 928万円
  5. 3,000万円特別控除を適用 → 課税譲渡所得0円

控除がなければ928万円 × 20.315% = 188万5,232円の税額でした。申告書類を揃えて確定申告するだけで、約188万円が手元に残る計算です。税金の全体像や税率の仕組みは不動産売却の税金 完全ガイドにまとめています。

よくある質問

Q. 相続した親の家にも使えますか?

自分が住んでいなかった親の家には、この特例(No.3302)は使えません。ただし要件を満たせば「相続空き家の3,000万円特別控除」(No.3306)という別制度が使える場合があります。実家を相続した方は相続した実家のチェックリストもご覧ください。

Q. 土地だけ売る場合は対象になりますか?

原則は「家屋とその敷地」が対象で、更地にして売る場合は取壊しから1年以内に譲渡契約を結ぶこと、取壊し後に貸駐車場などに使っていないことなどの条件付きで認められます。

Q. 単身赴任で自分は住んでいませんが使えますか?

本人が転勤などで住めない場合でも、配偶者などが住み続けており、事情が解消すれば同居すると認められる状況なら、対象になり得ます。判断が分かれやすい論点なので税務署への事前確認が安全です。

Q. 3,000万円控除を使うと国民健康保険料が上がると聞きました

国民健康保険料や後期高齢者医療の保険料の算定では、特別控除後の譲渡所得で計算されるのが原則です。控除で譲渡所得が0円になれば、保険料への影響も基本的にありません(扶養の判定などは制度により扱いが異なるため、加入先へ確認してください)。


売る前に、手取り額を知っておきませんか

不動産売却は、売る前の準備で決まります。URUMAEの無料ツールなら、査定前に自分で概算をつかめます。

※税額は個別の事情で変わります。最終判断は税理士・税務署にご確認ください。

この記事について

本記事は、不動産売却情報メディア URUMAE 編集部が公表されている制度・法令に基づいて執筆・編集しています。 制度・税率は執筆時点の情報です。個別の税務相談は税理士にご相談ください。

運営者は宅地建物取引士。不動産業界での実務経験15年。

運営者情報を見る

売る前に、まず相場を確かめる

査定を依頼する前に自分で相場の見当をつけておくと、各社の査定額が妥当かどうかを判断できます。 国土交通省が公開している実際の取引データをもとに、町丁目別の相場を無料で公開しています。

町丁目別の相場を見る

関連記事