結論:税金は最大4種類。譲渡益が出なければ大きな税金はかかりません
「家を売ったら、税金でかなり持っていかれるはず」。多くの人が最初にそう考えます。ところが大きな税金は利益(譲渡益)が出たときだけです。しかもマイホームなら、3,000万円特別控除で0円になる売主が多数派です。だから、売る前に「もうけ」と「所有期間」の2つを確かめれば、税額の見当がつきます。
この記事では、税金の種類、計算式、税率、特例、払う時期を、2026年時点の制度で順に整理します。
必ずかかる税金は印紙税と登録免許税の数千円〜数万円だけです
税金は最大4種類です。このうち必ずかかるのは、契約書の印紙税と抵当権抹消の登録免許税だけです。
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| 税金 | かかる条件 | 金額の目安 | 支払時期 |
|---|---|---|---|
| 印紙税 | 売買契約書の作成時に必ず | 1万円(1,000万円超〜5,000万円以下の契約) | 売買契約時 |
| 登録免許税 | ローン残債があり抵当権を抹消する場合 | 不動産1件につき1,000円 | 引渡し(決済)時 |
| 譲渡所得税(所得税+復興特別所得税) | 譲渡益が出た場合のみ | 譲渡益×15.315%(長期の場合) | 売却翌年の確定申告時 |
| 住民税 | 譲渡益が出た場合のみ | 譲渡益×5%(長期の場合) | 売却翌年度(6月以降) |
印紙税の1万円は軽減措置によるもので、2027年3月31日までに作成される契約書が対象です(出典: 国税庁 No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置)。
なお、仲介手数料などの「費用」は税金とは別枠です。費用の全体像はマンション売却の諸費用 全一覧で整理しています。
税金がかかるのは売値ではなく「もうけ」の部分です
課税の対象は、売値から元手と費用を引いた「譲渡所得」です(出典: 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税))。
譲渡所得=売却価格−取得費−譲渡費用
取得費は、購入代金に購入時の仲介手数料や登録免許税などを足した額です(出典: 国税庁 No.3252 取得費となるもの)。ただし建物は、持っていた間の減価償却費(価値の目減り分)を引きます。
譲渡費用は、売却時の仲介手数料や印紙税など、売るために直接かかった費用です(出典: 国税庁 No.3255 譲渡費用となるもの)。一方、固定資産税や修繕費のような維持費は入りません。
【計算例】2012年に3,500万円で買った自宅マンションを、2026年に3,900万円で売ったケースです。取得費は減価償却後3,050万円、譲渡費用は132万円と仮定します。
- 譲渡所得=3,900万円−3,050万円−132万円=718万円
- 3,000万円特別控除を適用:718万円−3,000万円→課税譲渡所得0円
つまり、718万円のもうけが出ても税額は0円です。ただし控除を使うには確定申告が必要です。
5年の判定は売った年の1月1日で数え、税率は約2倍違います
所有期間が5年以下なら短期、5年超なら長期です。ただし数えるのは売却日ではなく、売った年の1月1日時点です。
たとえば2021年9月に買って2026年10月に売ると、実際は5年1か月でも、1月1日時点は4年4か月なので短期です。そして2027年1月1日以降に売れば長期になり、税率はほぼ半分になります。
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| 区分 | 所有期間(譲渡年1月1日時点) | 所得税(復興税込み) | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 10年超所有マイホームの軽減税率(6,000万円以下の部分) | 10年超 | 10.21% | 4% | 14.21% |
出典: 国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算、国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
【計算例】2023年2月に2,400万円で買った投資用ワンルームを、2026年10月に2,780万円で売ったケースです。取得費2,310万円、譲渡費用98万円と仮定すると、譲渡所得は372万円です。
- 1月1日時点の所有期間は2年11か月なので短期(39.63%)
- 税額=372万円×39.63%=147万4,236円
- 長期なら372万円×20.315%=約75万6,000円
だから、居住用の特例がない投資用は、売る時期の差が手取りの差になります。
自宅なら3,000万円特別控除で税額0円になる人が多数です
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| 特例 | 内容 | 主な条件 | 国税庁タックスアンサー |
|---|---|---|---|
| 3,000万円特別控除 | マイホームの譲渡益から最大3,000万円を控除 | 自宅(住まなくなって3年目の年末まで) | No.3302 |
| 10年超所有の軽減税率 | 6,000万円以下の部分の税率が14.21%に | 所有10年超のマイホーム。3,000万円控除と併用可 | No.3305 |
| 相続空き家の3,000万円特別控除 | 相続した実家の譲渡益から最大3,000万円を控除 | 昭和56年5月31日以前建築・2027年12月31日までの売却など | No.3306 |
| 取得費加算の特例 | 払った相続税の一部を取得費に加算 | 相続開始から約3年10か月以内の売却 | No.3267 |
| 譲渡損失の損益通算・繰越控除 | 売却損を給与所得などと相殺 | マイホームの買換え、またはオーバーローンでの売却 | No.3370・No.3390 |
このうち使う人が多いのは3,000万円特別控除です。どの特例を組み合わせると手取りが増えるかは、手取りを増やす5つの節税テクニックで比べています。とはいえ、使えるかは個別の事情で変わります。最終的には税務署か税理士に確かめてください。
【注意】購入時の契約書がないと、もうけが大きく計算されます
購入時の売買契約書をなくして取得費を証明できないと、取得費は売却価格の5%の「概算取得費」になります。つまり3,000万円で売れた物件なら、取得費は150万円扱いです。
その結果、実際の購入価格が2,800万円でも、もうけは大きく膨らみます。自宅で控除が使えれば影響は小さめです。一方、投資用や相続した物件では税額に直結します。だから売却を考え始めたら、まず購入時の契約書と領収書を探しておきます。
まとめ:税金は売った翌年に集中するので、先に取り分けておきます
印紙税は契約時、登録免許税は決済時です。残りは翌年に来ます。
- 売却翌年の2月16日〜3月15日:確定申告をして所得税(復興特別所得税を含む)を納付
- 売却翌年度の6月以降:住民税(給与天引きまたは年4回の普通徴収)
ということで、自宅で10年以上住んだ人は控除と軽減税率の確認を、5年前後の人は1月1日時点の年数の確認を先にしてください。
もうけと1月1日の年数で税額が決まる
今日できることは、購入時の契約書を探すこと、所有年数を1月1日で数えること、税額分を代金から取り分ける計画を立てることの3つです。
続けて読むなら、不動産を売ったらいくら手元に残る?手取り額の計算方法です。
よくある質問
Q. 売却益が出なければ確定申告は不要ですか?
譲渡益が出ておらず特例も使わないなら、申告義務はありません。ただし3,000万円特別控除で税額が0円になる場合は申告が必須です。申告の判断基準は売却後の確定申告は必要かで整理しています。
Q. 税金は売却価格に対してかかるのですか?
いいえ。売却価格から取得費と譲渡費用を引いた「譲渡益」にだけかかります。買った値段より安く売れた場合、譲渡所得税・住民税は一切かかりません。
Q. 相続した不動産を売る場合の所有期間はいつから数えますか?
亡くなった方(被相続人)が取得した日から通算できます。親が30年前に買った実家なら、相続直後に売っても長期譲渡です。

