結論:売り出しから成約まで平均3〜4ヶ月、全体では4〜6ヶ月です
不動産売却にかかる期間は、売り出しから売買契約の成立(成約)までが平均でおよそ3〜4ヶ月です。これに売り出し前の準備(査定・不動産会社選び)で2週間〜1ヶ月、契約から引渡しまでの1〜1.5ヶ月を加えると、「売ろうと決めてからお金を受け取るまで」の全体では4〜6ヶ月が現実的な目安になります。
これは感覚値ではなく、公的なデータに裏付けがあります。東日本レインズ(公益財団法人東日本不動産流通機構。不動産会社が物件情報を登録・共有する公的ネットワークの運営団体)が公表した2025年の年間データでは、レインズ登録から成約に至る日数は中古マンションで82.5日、中古戸建住宅で100.9日でした(出典: 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」)。
住み替えや相続税の納税など期限のある売却では、この「平均で3〜4ヶ月、余裕を見て6ヶ月」から逆算して動き出すことが何より重要です。本記事では、物件種別ごとの平均期間、ステップ別の所要期間、長引く3大原因と短縮のコツを順に解説します。
物件種別ごとの平均売却期間【レインズ2025年データ】
まず、公的データで実態を確認しましょう。東日本レインズが2026年1月に公表した2025年(1〜12月)の首都圏データでは、レインズ登録から成約に至る日数は次のとおりでした。
| 物件種別 | 登録から成約までの平均日数(2025年) | 月数の目安 |
|---|---|---|
| 中古マンション | 82.5日 | 約2.7ヶ月 |
| 中古戸建住宅 | 100.9日 | 約3.3ヶ月 |
| 土地(100〜200平米) | 89.8日 | 約3.0ヶ月 |
ポイントは3つあります。第一に、マンションは戸建てより約3週間早く売れる傾向があること。間取りや管理状態が比較しやすく、買い手が価格の妥当性を判断しやすいためです。第二に、戸建てと土地は3ヶ月を超えやすいこと。土地の境界や建物の状態など、買い手が確認したい事項が多いためです。第三に、この日数はあくまで「レインズ登録から成約まで」であり、売り出し前の準備と、成約後の引渡しは含まれていないことです。全体の期間はここに前後1〜2ヶ月ずつ足して考える必要があります。
なお、この平均には早く売れた物件も1年かかった物件も含まれます。同じマンションでも、駅近か郊外か、価格設定が適正かで期間は大きく変わるため、「平均より早いか遅いか」を途中で点検する物差しとして使ってください。
売却のステップ別 所要期間の目安
売却の全工程を分解すると、次のようになります。
| ステップ | 内容 | 所要期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 事前準備 | 相場調査・必要書類の用意・ローン残債の確認 | 1〜2週間 |
| 2. 査定・会社選び | 複数社に査定依頼・訪問査定・比較 | 2週間〜1ヶ月 |
| 3. 媒介契約〜売り出し | 契約締結・写真撮影・広告掲載の開始 | 1〜2週間 |
| 4. 販売活動 | 内覧対応・条件交渉 | 1〜3ヶ月 |
| 5. 売買契約〜引渡し | 契約・買主のローン審査・決済と引渡し | 1〜1.5ヶ月 |
合計すると、最短で約3ヶ月、標準的には4〜6ヶ月です。たとえば2026年8月上旬に準備を始めた場合、査定と会社選びに3週間、売り出しから成約まで平均並みの3ヶ月、引渡しまで1.5ヶ月とすると、8月+0.75ヶ月+3ヶ月+1.5ヶ月で、代金を受け取れるのは2027年1月頃という計算になります。「年内に現金化したい」なら、遅くとも6月には動き出す必要があった、と逆算できるわけです。
見落とされがちなのがステップ5です。買主の多くは住宅ローンを利用するため、売買契約から決済までに金融機関の本審査(通常2〜4週間)を挟みます。契約が決まっても、すぐに現金が入るわけではない点は資金計画上とても重要です。
売却が長引く3大原因
平均を大きく超えて6ヶ月、1年と長引く場合、原因はほぼ次の3つに集約されます。
原因1:売り出し価格が相場より高い
長期化の原因として最も多いのが価格です。買い手は同じエリアの競合物件と必ず比較しており、相場より1割高い物件は検索結果で見られても問い合わせにつながりません。特に注意したいのは、査定額の高さで不動産会社を選んでしまうケースです。媒介契約を取るために相場より高い査定額を提示し、売れずに値下げを繰り返す──という展開は、残念ながらよく指摘されるパターンです。売れないまま時間が経つと「売れ残り物件」という印象がつき、かえって値下げ幅が大きくなりがちです。
原因2:物件の条件・見せ方に課題がある
駅からの距離、築年数、旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の建築確認)かどうかといった条件は変えられませんが、「見せ方」は変えられます。広告写真が暗い、室内が片付いていない、内覧の日程調整に応じられる日が少ない──こうした要因は、条件そのものより先に改善できるボトルネックです。内覧の準備については内覧対応の準備チェックリストで詳しく解説しています。
原因3:不動産会社の販売活動が不十分
レインズへの登録が遅い、写真が少ない、問い合わせへの返信が遅い、販売状況の報告がない──こうした会社に当たると、物件に問題がなくても期間は延びます。専任媒介契約(1社にだけ仲介を任せる契約)では2週間に1回以上の報告義務が宅建業法で定められています。報告が形骸化している場合は、契約期間(上限3ヶ月)の満了時に会社の変更を検討すべきサインです。媒介契約の種類と選び方は媒介契約3種類の違いと選び方をご覧ください。
売却期間を短くする4つのコツ
- 売り出し前に自分で相場を調べる:レインズ・マーケット・インフォメーションや国土交通省の不動産情報ライブラリで成約価格を確認しておくと、査定額の高い安いを自分で判断でき、価格設定の失敗を防げます。
- 最初の1ヶ月に全力を注ぐ:売り出し直後は、条件の合う買い手に新着物件として一斉に通知が届く、反響が最も集まりやすい期間です。写真・価格・掃除を整えてから売り出すことが、結果的に最大の時間短縮になります。
- 内覧の受け入れ態勢を柔軟にする:内覧希望は土日に集中します。希望日に見られない物件は候補から外れやすいため、売却期間中は予定を空けておくのが理想です。
- 反響を見て早めに軌道修正する:1ヶ月で問い合わせが少ない、内覧はあるのに決まらない、といったサインごとに打ち手は異なります。判断基準は値下げ交渉と価格改定のタイミングで解説しています。
どうしても急ぐ場合は「買取」という選択肢もあります
転勤や相続税の納期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)など、どうしても期限がある場合は、不動産会社が直接買い取る「買取」も選択肢です。仲介と違い買い手を探す期間が不要なため、早ければ数週間で現金化できます。
ただし、買取価格は市場相場の7〜8割程度になるのが一般的です。仲介なら3,000万円で売れる見込みの物件が、買取では2,100万〜2,400万円程度になる計算で、差額は600万〜900万円にもなります。スピードと引き換えに失う金額が大きいため、まずは仲介で期限から逆算したスケジュールを組み、間に合わない場合の最終手段として検討する順番をおすすめします。
よくある質問
Q. 売れやすい時期・季節はありますか?
転勤や進学に伴う住み替えが動く1〜3月と、9〜11月は需要が増える傾向があります。ただし、季節要因より価格設定と物件の見せ方の影響のほうがはるかに大きいため、「売りたい事情ができたときが売りどき」と考え、準備の質を優先するほうが実際的です。
Q. 3ヶ月売れなかったら失敗ですか?
失敗とは限りません。戸建てや土地は平均でも3ヶ月を超えます(2025年の中古戸建は100.9日)。目安として、3ヶ月時点で内覧が数件も入っていないなら価格か広告の見直し、内覧は入るのに申し込みがないなら見せ方や条件面の見直し、というように原因を切り分けて対処してください。
Q. 住みながら売却できますか?
できます。実務では住みながらの売却が多数派です。空き家にしてから売るより内覧の生活感が出やすい面はありますが、掃除と整理で十分カバーできます。逆に、先に引っ越して空き家にすると、住み替え先との二重負担が発生する点に注意が必要です。
Q. 売却期間が長引くと税金面で不利になりますか?
売却期間そのものより「所有期間」が重要です。譲渡所得税(売却益にかかる税金)は、譲渡した年の1月1日時点の所有期間が5年以下だと税率39.63%、5年超だと20.315%と大きく変わります。売却のタイミングが年をまたぐ場合は、この判定に影響しないか事前に確認してください。個別の税額は事情により異なるため、最終的には税理士や税務署にご確認ください。
売る前に、手取り額を知っておきませんか
不動産売却は、売る前の準備で決まります。URUMAEの無料ツールなら、査定前に自分で概算をつかめます。
- 売却手取り計算ツールを使う — 税金・費用を引いた「手元に残る金額」を3分で試算
※税額は個別の事情で変わります。最終判断は税理士・税務署にご確認ください。
