神戸・阪神間2026年8月7日

神戸で旧耐震マンションを売る|1981年5月以前の物件が抱える3つの壁と、住宅ローン控除の「1982年」ライン

旧耐震新耐震基準神戸市住宅ローン控除耐震改修補助

最終更新:

結論:旧耐震は売れます。ただし買主の「借りられる条件」が価格を決めます

神戸・阪神間には、1981年以前に建てられたマンションが数多く残っています。震災を経験した街だからこそ、耐震性への関心は他の地域より高いと感じます。

旧耐震マンションの売却で本当に効いてくるのは、建物の耐震性そのものより、「買主がローンを借りられるか」「買主が税制優遇を使えるか」です。買主の資金計画が組めなければ、価格を下げても売れません。逆に、そこがクリアできれば築古でも成約します。

この記事では次の3点を整理します。

  1. 旧耐震・新耐震の正確な線引き(1981年6月1日)
  2. 住宅ローン控除の分岐(1982年1月1日・登記簿上の建築日付)
  3. 神戸市の耐震改修補助制度(2026年度の要件と金額)

線引きは「1981年6月1日」。ただし基準日は建築確認です

新耐震基準は1981年(昭和56年)6月1日から施行されました。基準の内容は次のように変わりました。

旧耐震基準(〜1981年5月31日)新耐震基準(1981年6月1日〜)
想定する地震震度5程度の中規模地震震度6強〜7程度の大規模地震
求められる性能倒壊・崩壊しない倒壊・崩壊しない
【図表1:1981年6月1日を境に、想定する地震規模が震度5程度から震度6強〜7程度へ引き上げられた】

重要なのは、この基準日が「建築確認を受けた日」であることです。竣工日ではありません。したがって、1981年6月以降に完成した建物でも、建築確認が5月以前なら旧耐震という物件が存在します。工期の長いマンションでは、竣工が1982年や1983年でも旧耐震というケースがあります。

売却にあたっては、建築確認済証の日付を確認するのが正確です。管理組合や管理会社に確認するか、市区町村の建築計画概要書で調べられる場合があります。


住宅ローン控除の分岐は「1982年1月1日」です

ここが売主にとって最も実利のある論点です。

かつて住宅ローン控除には「木造20年以内、マンション25年以内」という築年数要件がありました。これが令和4年度(2022年度)の税制改正で撤廃され、次のように変わりました。

1982年(昭和57年)1月1日以後に建築された家屋であれば、新耐震基準に適合する住宅とみなされ、耐震基準適合証明書などの証明書なしで住宅ローン控除の対象になります。判定は登記簿上の建築日付によります。

この改正の意味は大きいものです。築40年、築50年のマンションでも、登記簿上の建築日付が1982年1月1日以降なら、買主は住宅ローン控除を使えます。

登記簿上の建築日付住宅ローン控除
1982年1月1日以降証明書なしで対象(築年数を問わない)
1981年12月31日以前耐震基準適合証明書等の証明書が必要
【図表2:住宅ローン控除は「登記簿上1982年1月1日以降」で証明書不要。それ以前は証明書が必要 出典:国税庁】

売主が今すぐ確認すべきこと

登記事項証明書を取得して、建物の「原因及びその日付」欄の新築日を確認してください。法務局の窓口・オンラインで1通数百円です。

ここが1982年1月1日以降なら、それは売り文句になります。「築古だが住宅ローン控除が使える」と明示できることは、買主の資金計画に直接効きます。広告や物件資料に記載してもらうよう、仲介会社に伝えてください。

1981年12月31日以前の場合は、耐震基準適合証明書を取得できるかどうかが分岐点になります。ただしこれは耐震診断を経て基準を満たす必要があり、マンションの場合は管理組合単位の話になるため、個人の一室だけでは対応が難しいのが実情です。


旧耐震マンションが直面する3つの壁

壁1:買主の住宅ローン審査

金融機関によっては、旧耐震物件への融資に慎重な姿勢を取ります。融資期間が短くなる、融資割合が下がる、そもそも取り扱わない、といった対応があり得ます。

結果として買主の層が狭まります。現金購入者や、旧耐震でも扱う金融機関を知っている買主が中心になります。

対策としては、旧耐震物件の取扱い実績がある仲介会社を選ぶこと、そして買主が使える金融機関の情報を売却活動の中で提示できるようにしておくことです。

壁2:管理状況の説明責任

築年数が古いほど、買主は管理の質を見ます。具体的には次の書類です。

  • 長期修繕計画
  • 修繕積立金の残高
  • 過去の大規模修繕の実施履歴
  • 管理規約、総会議事録

神戸の物件では、阪神・淡路大震災後の補修履歴も重要な情報になります。どこをどう直したのかが記録として残っていれば、買主の不安を減らせます。管理組合に確認して、開示できる資料を揃えてください。

修繕積立金の水準については修繕積立金の値上げと売却価格で詳しく扱っています。

壁3:将来の建替え・修繕への不安

築40年を超えると、買主は「あと何年住めるのか」を考えます。ここは正直に情報開示するしかありません。ただし、修繕計画がしっかりしているマンションは、築年数だけで評価されるわけではありません。


神戸市の耐震改修補助制度(2026年度)

神戸市は震災の経験から、住宅の耐震化を重点施策としています。マンション向けの補助制度が用意されています。

対象となる建物

  • 神戸市内にあること
  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に着工されたマンション
  • 耐火建築物または準耐火建築物
  • 主要構造が鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、または鉄骨造
  • 延べ面積1,000㎡以上、かつ地階を除く階数が3階以上

補助の内容

補助の種類補助額
精密診断費対象経費の3分の2、または戸数×4万円のいずれか低い額
計画策定費対象経費の3分の2、または面積別単価(1,000㎡以下は2,400円/㎡など)のいずれか低い額
工事費対象経費の2分の1、または延べ面積×5千円、または1億3,500万円のいずれか低い額

受付期間は2026年4月2日〜12月15日、窓口は神戸市すまいの安心支援センター(すまいるネット)/078-647-9933です(神戸市「マンションの耐震改修補助制度」)。

売主にとっての意味

この制度は管理組合が使うものであり、区分所有者が個人で申請するものではありません。したがって、すぐに自分の売却に使えるわけではありません。

ただし、管理組合で耐震診断や改修が検討されている、あるいは実施済みであれば、それは大きな売り材料になります。総会議事録や理事会の資料を確認し、耐震に関する取り組みがあれば必ず買主に伝えてください。何もしていないマンションとは評価が変わります。


売却の進め方:順序が重要です

  1. 登記事項証明書で建築日付を確認する — 1982年1月1日以降かどうかが最初の分岐です
  2. 建築確認済証の日付を管理会社に確認する — 旧耐震か新耐震かの正確な判定に必要です
  3. 管理組合の資料を集める — 長期修繕計画、修繕積立金残高、修繕履歴、耐震に関する検討状況
  4. 旧耐震の取扱い実績がある会社に相談する — 買主のローン付けができるかで結果が変わります
  5. 価格は相場と資金計画の両面で考える神戸のマンション相場阪神間の売却相場もご覧ください

よくある質問

Q. 旧耐震だと大幅に安くなりますか?

立地によります。神戸市中央区・灘区・東灘区の駅近など、土地の価値が高いエリアでは、建物の古さより立地が評価されることがあります。一方、駅から遠く管理も行き届いていない物件は厳しくなります。一律に「旧耐震だから何割引」という決まりはありません。

Q. 耐震診断を受けた方が売りやすいですか?

マンションの耐震診断は管理組合の決議が必要で、個人の判断では実施できません。すでに診断済みなら結果を確認してください。診断の結果が良くない場合の開示については、仲介会社と相談が必要です。

Q. 買取業者に売る方が早いですか?

旧耐震で買主のローンが付きにくい物件では、選択肢になります。価格は下がりますが、確実性と速度は上がります。判断材料は早く売る方法にまとめています。

Q. 建替えの話が出ています。売るべきか待つべきか。

建替え決議には区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成が必要ですが、2026年4月1日施行の改正区分所有法により、地震に対する安全性の基準に適合していない場合など一定の事由があるときは4分の3以上に緩和されました(区分所有法62条2項)。それでも実現までには長い年数がかかります。建替え検討中であることは買主への告知事項になり得ますので、仲介会社に必ず伝えてください。待つか売るかは、資金負担の見込みと自身の年齢・資金計画から判断する話になります。

Q. 震災の被害を受けた履歴は伝える必要がありますか?

補修の内容や程度によります。建物の構造に影響する重大な損傷とその補修は、買主の判断に影響する事項として説明が必要になり得ます。判断に迷う場合は告知義務の範囲を参考に、仲介会社と相談してください。隠して後から発覚する方が、はるかに重い問題になります。


売る前に、手取り額を知っておきませんか

不動産売却は、売る前の準備で決まります。URUMAEの無料ツールなら、査定前に自分で概算をつかめます。

※補助制度の要件・金額は年度により変わります。最新の内容は神戸市すまいの安心支援センター(すまいるネット)にご確認ください。

この記事について

本記事は、不動産売却情報メディア URUMAE 編集部が公表されている制度・法令に基づいて執筆・編集しています。 制度・税率は執筆時点の情報です。個別の税務相談は税理士にご相談ください。

運営者は宅地建物取引士。不動産業界での実務経験15年。

運営者情報を見る

売る前に、まず相場を確かめる

査定を依頼する前に自分で相場の見当をつけておくと、各社の査定額が妥当かどうかを判断できます。 国土交通省が公開している実際の取引データをもとに、町丁目別の相場を無料で公開しています。

町丁目別の相場を見る

関連記事