費用・税金

不動産売却で手取りを増やす5つの節税テクニック【売る前に確認・2026年】

計算機とメモ帳をペン画と淡い水彩で描いたイラスト

結論:節税の勝負は「売った後」ではなく「売る前」に決まります

「税金は、売った後の確定申告で考えればいいはず」。多くの人がそう考えますが、購入時の契約書が1枚ないだけで、税額が約609万円変わる例があります(出典: 国税庁 No.3258 取得費が分からないとき)。だから、節税の手は売り出す前に打つ必要があります。

売却益(譲渡所得)にかかる税率は、長期で20.315%、短期なら39.63%です。とはいえ、次の5つを売る前に確かめれば、税額は合法的に小さくできます。

テクニック効果額の目安
1. 3,000万円特別控除を使う最大約600万円の減税
2. 10年超所有の軽減税率を併用する課税所得1,500万円なら約92万円の減税
3. 取得費の資料を探す(概算5%を回避)数百万円規模の減税になることも
4. 譲渡費用の計上漏れを防ぐ費用100万円につき約20万円の減税
5. 所有期間5年超まで売却を待つ利益800万円なら約155万円の減税

つまり、どれも売却後では使えないか、効果が薄くなります。というのも、控除の要件は売却時点の状況で決まり、所有期間は売る日そのもので決まるからです。

この記事では、5つの効果額を計算つきで、これから売り出す人に向けて整理します。

3,000万円控除は、10年超の軽減税率と併用すると効果が大きくなります

マイホーム(居住用財産)を売ったときは、要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できます(出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例)。所有期間の長短は問いません。

たとえば譲渡所得が3,000万円なら、控除なしの長期税率で約609万円です。ところが控除を使えば0円になります。これが表の「最大約600万円」の根拠です。

売る前に確かめたい要件は次の3つです。

  • 住まなくなった日から3年目の年末までに売ること
  • 配偶者・親子など特別な関係者への売却ではないこと
  • 前年・前々年にこの特例などを使っていないこと

さらに所有期間が10年を超えると、控除後の課税譲渡所得のうち6,000万円以下の部分は、税率が14.21%に下がります(出典: 国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例)。

【計算例】控除後に1,500万円残ると、通常税率では約304万7,000円です。一方、軽減税率なら約213万2,000円です。つまり、差額は約91万6,000円になります。

なお、10年は「譲渡した年の1月1日時点」で判定します。そのため9〜10年お住まいの方は、売る年を翌年にするだけで使える場合があります。

契約書と領収書が残っているだけで、税額は数百万円変わります

譲渡所得は「売却価格−取得費−譲渡費用」で計算します。ところが購入時の契約書がないと、取得費は売却価格の5%(概算取得費)でしか計算できません(出典: 国税庁 No.3258 取得費が分からないとき)。

たとえば3,200万円で買った土地を、4,000万円で売るケースで比べます。

項目契約書あり契約書なし
取得費3,200万円200万円(4,000万円×5%)
譲渡所得800万円3,800万円
税額(長期20.315%)約163万円約772万円

つまり、課税対象が3,000万円増え、税額の差は約609万円です。マイホーム以外の土地なら、3,000万円控除でも埋められません。

だから、売る前に購入時の契約書と領収書を探します。見つからなくても、住宅ローンの契約書や通帳の出金記録で、購入価格を示せる可能性があります。計算の全体像は手取り額の計算方法で確かめられます。

また、売却のために払った費用(譲渡費用)も差し引けます(出典: 国税庁 No.3255 譲渡費用となるもの)。仲介手数料、売主負担の印紙税、取壊し費用、立退料、売却のための測量費などです。

100万円多く計上できれば、長期税率で約20万3,000円の減税です。ただし、固定資産税や修繕費、引越し費用などは原則として入りません。仲介手数料の額は仲介手数料の計算式と早見表で先に見積もれます。

所有期間は「売った年の1月1日」で数えるため、数か月の差で税率が約2倍になります

税率は、所有期間5年以下(短期)で39.63%、5年超(長期)で20.315%です(出典: 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算)。

【計算例】譲渡所得800万円なら、短期で約317万円、長期で約162万5,000円です。つまり、約154万5,000円の差になります。

ところが、5年は「売った年の1月1日時点」で数えます。たとえば2021年9月に買って2026年10月に売ると、実際は5年を超えていても短期です。

一方、2027年1月1日以降に売れば長期になります。だから、購入から5〜6年の方は、売り出す前に登記簿で取得日を確かめます。

【注意】節税を優先すると、手取りが減る場合があります

税金のために売却を待つ間に、相場が下がれば本末転倒です。たとえば1年待って税金が約155万円減っても、価格が200万円下がれば手取りは減ります。

また、特例には併用できない組み合わせがあります。たとえば3,000万円控除と住宅ローン控除です。そのため住み替えで新居を買う方は、どちらが有利かを試算する必要があります。

さらに、売却価格を下げて税金を減らすのは逆効果です。税率は最大でも約4割なので、価格が下がった分ほど手取りは戻りません。

個別の事情で結論が変わるため、大きな金額が動く場合は、申告前に税理士へ相談してください。

まとめ:売り出す前に、契約書と登記簿の日付を確かめましょう

ということで、マイホームを売る人は3,000万円控除の期限を、購入から5〜6年の人は1月1日の判定を先に確かめます。一方、相続した土地や投資用の物件なら、取得費の資料探しが一番の節税です。

節税は売り出す前の書類探しで決まる

  • 購入時の売買契約書と領収書を探す
  • 登記簿で取得日を確かめ、1月1日時点の所有期間を数える
  • 住まなくなった日から3年目の年末を手帳に書く

続けて読むなら、売却後の確定申告は必要かです。

よくある質問

Q. 5つのうち、どれが一番効果が大きいですか?

金額の大きさでは、3,000万円特別控除(最大約600万円)と取得費の立証(ケースにより数百万円)が二強です。ただし控除はマイホーム限定なので、相続した土地や投資用物件では取得費の立証が中心になります。

Q. ふるさと納税や生命保険料控除で譲渡所得税は減らせますか?

譲渡所得は分離課税(給与などと分けて税額を計算する方式)のため、生命保険料控除などの所得控除で直接減らせる余地は小さいのが実情です。一方、売却益が出た年は住民税所得割が増えるため、ふるさと納税の上限額は増えます。節税というより「同じ税額で返礼品がもらえる枠が広がる」効果です。

Q. 売却益を新しい家の購入にあてれば税金はかかりませんか?

特定居住用財産の買換え特例という制度はありますが、非課税になるのではなく課税の繰り延べ(新居を将来売るときまで課税を先送り)です。しかも3,000万円控除とは選択制で、多くのケースでは3,000万円控除の方が有利です。安易に買換え特例を選ぶ前に試算をおすすめします。

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この記事について

本記事は、不動産売却情報メディア URUMAE 編集部が公表されている制度・法令に基づいて執筆・編集しています。制度・税率は執筆時点の情報です。個別の税務相談は税理士にご相談ください。

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※税額は個別の事情で変わります。最終判断は税理士・税務署にご確認ください。

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