借地の家は売れますが、契約の確認が先です
「借地の家は売れる?地主に何を確認すればよいの?」。借地権付き建物は、土地を利用する権利と建物を買主に引き継いで売却する方法があります。
地主が持つ土地の所有権は「底地」と呼ばれ、建物の売主が勝手に処分することはできません。
最初に確認したいのは、借地権が土地の「賃借権」か「地上権」か、普通借地か定期借地かという契約の中身です。以下は主に、地代を払い土地を借りる賃借権の場合を説明します。
建物を売れば土地の賃借権も移るため、原則として地主の承諾が必要です。建物だけ自分名義だから自由に売れる、とは考えないでください。無断で進めず、契約書と登記事項証明書を不動産会社へ見せることから始めます(出典:東京地方裁判所・借地非訟とは)。
地主には、譲渡と将来の建替えを分けて確認します
譲渡への承諾と、建替え・増改築への承諾は別の問題です。「売ってよい」と言われても、買主が希望する建物に建て替えられるとは限りません。
| 確認すること | 売却条件への影響 |
|---|---|
| 契約の種類・残存期間 | 買主がいつまで使えるか、更新の扱い |
| 譲渡承諾の条件 | 承諾料、支払時期、必要書類 |
| 地代と滞納の有無 | 引継ぎ後の支払額と精算 |
| 建替え・増改築の制限 | 買主の計画を実現できるか |
| 融資関係の書類への協力 | 買主の金融機関が求める条件を満たせるか |
普通借地権の期間は原則30年、更新後は最初20年、その後10年ですが、より長い合意もあります。一般定期借地権は50年以上で設定し、更新しない等の特約を設ける制度です。古い契約には旧借地法の経過措置があるため、更新した日だけで適用法を判断しないでください(出典:借地借家法3・4・22条、附則)。
承諾料と借地権割合の誤解に注意してください
譲渡承諾料に、法律で一律10%という定めはありません。まず地主に金額と計算の根拠を確認し、誰がいつ払うかを書面にします。建替え等の別の費用が含まれるのかも切り分けてください。
仮に売買代金1,800万円、合意する譲渡承諾料が180万円なら、差引きは1,620万円です。これは計算例であり、承諾料の相場や適正額を示すものではありません。さらに仲介手数料、登記関係費用、税金、ローン残債などを引いて手取りを考えます。
また、路線価図の借地権割合は、相続税・贈与税の評価に使う数字です。通常の借地権の評価では自用地としての価額に割合を掛けますが、市場で売れる価格の保証ではありません。定期借地権等は評価方法も異なります(出典:国税庁・借地権の評価)。
査定では、契約期間、地代、建物の状態、買主の融資条件を示したうえで比較します。「割合が60%だから売却代金も60%」と配分を先に固定しないことが大切です。
底地との同時売却は、代金配分と条件の合意が必要です
地主が協力するなら、底地と借地権付き建物を同じ買主に売る方法があります。土地と建物をまとめて取得できる形にすることで、借地のまま売る場合と異なる提案ができます。ただし、高値や融資承認が保証されるわけではありません。
| 選択肢 | 先に決めたいこと |
|---|---|
| 第三者へ借地権付き建物を売る | 地主の承諾、買主の利用・融資条件 |
| 地主に買い取ってもらう | 買取額、建物の扱い、引渡し時期 |
| 底地と同時に売る | 代金配分、各自の費用、同時に引き渡す条件 |
同時売却では、総額だけでなく「自分の取り分から何を負担するか」まで合意します。土地所有権を取得しても建築法令の制限は残るので、再建築の可否は別途確認が必要です。再建築不可物件の売却も併せて確認してください。
承諾が得られない場合にも、裁判所へ申し立てる制度があります
地主に不利となるおそれがないのに承諾を得られない場合、借地借家法19条により、裁判所が承諾に代わる許可を与えられます。残存期間や従前の経緯などを考慮する制度で、申立てさえすれば許可されるわけではありません。
裁判所は金銭の支払などを条件とすることもあり、地主自身が建物と賃借権を買い受ける「介入権」の申立てもあります。売買の約束を固める前に、弁護士へ手続き・費用・契約期限を相談してください。
買主の融資が必要な場合は、地主の承諾と融資承認を別々に確認します。売買契約では融資利用の特約と解除期限も整理しておくと、取引が進まない場合の扱いを明確にできます。
契約条件をそろえてから、売却方法を比べる
よくある質問
Q. 借地だと住宅ローンは使えませんか?
一律に使えないわけではありません。フラット35にも借地の取扱いがあります。ただし担保や権利の条件を確認する必要があり、個別の融資承認は金融機関の判断です。
Q. 定期借地権の残りが15年なら、35年ローンは組めますか?
フラット35では、通常の借入期間と借地権の残存期間の短いほうが上限です。残り15年なら35年にはできません。他の金融機関・商品は個別に確認してください(出典:フラット35・敷地が借地の場合)。
Q. 譲渡承諾があれば建替えも自由ですか?
別の確認が必要です。借地契約の建替え条件と建築法令上の制限、買主の計画を照合してください。
※2026年10月24日更新:承諾料の一律相場、旧法の期間、同時売却での価格・融資の断定を見直しました。

