売却の方法2026年9月13日

不動産が売れない3つの原因と立て直し手順【2026年版】神戸の売出3,775件で検証

売れない売出価格販売活動媒介契約市場データ
半分開いたカーテンの明暗と、さらに開ける手元をペン画と淡い水彩で描いたイラスト

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結論:原因は3つに絞れます。最初に確かめるのは「価格の位置」です

売り出したのに問い合わせが来ない。内覧はあるのに決まらない。この状態が続くと、多くの方が「もっと下げるしかないのか」と考え始めます。

ただ、下げる前に確かめるべきことがあります。売れない原因は、突き詰めると次の3つしかありません。

  1. 価格:同じ条件の他の物件と並べたとき、価格が高いほうに寄っている
  2. 見せ方:写真・間取り図・説明文が弱く、そもそも候補に入っていない
  3. 売り方:不動産会社が広く売っていない、または売り方が物件に合っていない

そして最初に確かめるのは1の価格です。理由は単純で、2と3をどれだけ直しても、価格が市場の上端にある物件は動かないからです。逆に価格の位置が適正なら、2と3の改善だけで反響が戻ることも珍しくありません。

この記事では、URUMAEが集計した実データを使って「自分の価格が今どのあたりにあるのか」を確かめる方法と、4週間で立て直す手順をお伝えします。


そもそも、売りに出した物件のどれくらいが成約しているのか

まず市場の全体像です。不動産は「売りに出せば売れる」ものではありません。

公益社団法人 近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ)が毎月公表している市況レポートから、兵庫県内の直近12か月(2025年8月〜2026年7月)を集計すると、次のようになります。

【図表1:兵庫県の新規登録件数・成約件数・在庫月数(直近12か月)出典:近畿圏不動産流通機構の市況レポートを基にURUMAEが作成】
種別新規登録成約成約/新規登録平均在庫在庫月数
中古マンション20,298件6,068件29.9%6,265件12.4か月分
中古戸建13,714件3,783件27.6%5,215件16.5か月分
新築戸建4,961件1,270件25.6%1,395件13.2か月分
土地10,975件2,299件20.9%5,028件26.2か月分

「在庫月数」は、いま市場にある在庫が、直近の成約ペースで何か月分にあたるかを示した数字です。中古マンションで12.4か月分、土地では26.2か月分あります。

近畿圏全体でも傾向は同じで、中古マンション12.5か月分・中古戸建16.3か月分・土地23.2か月分でした。

ここで注意していただきたいのは、この「29.9%」は同じ物件を追いかけた成約率ではないという点です。 新規登録と成約はそれぞれ別に数えられた件数で、同じ月に登録された物件がその月に決まるわけではありません。あくまで市場全体の流れの太さを比べた指標として見てください。

それでも、売り出しの数に対して成約の数がこれだけ少ないという事実は動きません。売れないのは、あなたの物件が特別だからではなく、市場がそういう構造だからです。まずここを受け止めると、次の一手が冷静に打てます。

なお、売却にかかる期間の一般的な目安は不動産売却の期間は平均何ヶ月?で詳しく扱っています。


「相場どおりに出したつもり」が、実は幅の上端にあることがあります

次に、価格の位置の話です。

多くの方は「相場」を一本の線だと考えています。ところが実際の売出価格は、同じ条件の物件どうしでも大きく開いています。

URUMAEでは、神戸市内で売りに出ている中古マンションの情報を独自に集計しています。2026年8月23日時点で集めた3,775件のうち、区・築年代・広さ帯がそろって判別できた3,615件について、それぞれの平方メートル単価を「同じ区・同じ築年代(10年区切り)・同じ広さ帯」の中央値と比べたところ、次のような結果になりました。

【図表2:同じ条件でも売出単価はこれだけ開く(神戸市・中古マンション3,615件)出典:URUMAE調べ】
位置同条件の中央値との差
下から5%目−52.1%
下から25%目−18.1%
ちょうど真ん中0.0%
上から25%目+20.1%
上から5%目+82.8%

下から25%目の物件と上から25%目の物件を比べると、平方メートル単価で約1.5倍の開きがあります。区も築年代も広さ帯も揃えたうえで、これだけ違うということです。

もちろん、この差のすべてが「強気」「弱気」の差ではありません。同じ築年代・同じ広さでも、階数・向き・角部屋か・リフォーム済みか・眺望・管理状態によって価格が違うのは当然です。実際の価値の差が含まれています。

それでも、次のことは言えます。あなたが「相場どおり」と思って出した価格は、この幅のどこかにあります。そして真ん中とは限りません。 上から25%目のあたりに置いていれば、買主は同じ条件でもっと安い物件を先に見に行きます。反響が来ないのは当たり前なのです。


幅の広さは、エリアによってまったく違います

さらに区別に見ると、価格の散らばり方そのものが違います。

【図表3:神戸市9区の売出単価の散らばり(同条件の中央値との差)出典:URUMAE調べ】
件数下から25%目上から25%目
長田区110件−41.0%+41.1%82.1ポイント
須磨区416件−26.1%+32.2%58.3ポイント
西区283件−22.4%+26.2%48.6ポイント
垂水区562件−20.5%+25.0%45.5ポイント
北区148件−18.7%+24.9%43.6ポイント
東灘区813件−16.0%+21.1%37.1ポイント
灘区344件−18.7%+13.2%31.9ポイント
中央区773件−13.9%+12.7%26.6ポイント
兵庫区166件−15.3%+3.6%18.9ポイント

中央区や兵庫区は幅が狭く、取引が多いぶん価格が一定の範囲に収まっています。一方で長田区・須磨区・西区・垂水区・北区は幅が広く、同じ条件の物件でも上下に大きく開いています。件数が少ない区は数字が振れやすい点は割り引いて見てください。

幅が広いエリアほど、価格の付け方の失敗が響きます。 買主から見て「同じような物件で、もっと安いものがある」状態になりやすいためです。逆に言えば、幅が広いエリアでは価格の位置を直すだけで反響が戻る余地も大きいということになります。


原因を切り分ける3つの質問

ここからは診断です。次の3つを、担当者に数字で出してもらってください。感覚ではなく件数で聞くのがコツです。

質問1:この4週間で、問い合わせは何件ありましたか

問い合わせがゼロに近いなら、原因は価格か露出です。買主はまだあなたの物件を「候補」として認識していません。物件の中身の問題ではありません。

質問2:内覧は何件ありましたか

問い合わせはあるのに内覧に至らないなら、写真・間取り図・説明文が弱い可能性があります。買主はネット上で候補を絞ってから動きます。掲載されている情報が、実物より不利に見えていないか確認します。

質問3:内覧した方から、値下げ以外の指摘はありましたか

内覧は来るのに決まらないなら、現地で気になる点があります。においや水回りの汚れ、荷物の多さ、日当たり、生活音、管理の状態などです。ここは費用をかけずに直せるものが多く、効果も出やすい部分です。

3つとも「担当者に聞いても数字が出てこない」場合は、原因が価格でも見せ方でもなく、売り方にある可能性が高くなります。次の章で扱います。

内覧の準備については不動産売却の内覧対応で決まるにチェックリストをまとめています。


会社の動きは、法律で確かめられます

売主は「ちゃんと売ってくれているのか」を感覚で判断しがちですが、実はここは法律で担保されています。

宅地建物取引業法(宅建業法。不動産取引のルールを定めた法律)は、媒介契約を結んだ不動産会社に対して次の義務を課しています。

媒介契約の種類レインズへの登録期限売主への業務報告
専属専任媒介媒介契約の締結日から5日以内1週間に1回以上
専任媒介媒介契約の締結日から7日以内2週間に1回以上
一般媒介義務なし義務なし

(根拠:宅地建物取引業法 第34条の2 第5項・第9項、同法施行規則 第15条の10。登録期限の日数は休業日を算入せず、初日も数えません)

さらに同法第34条の2第2項では、不動産会社が価額または評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定められています。つまり「この価格でいけます」と言われたら、その根拠となった事例を出してもらうよう求める権利が売主にはあります。

そして2025年1月1日からは、レインズに登録する事項に「取引の申込みの受付に関する状況」が加わりました(宅地建物取引業法施行規則 第15条の11第2号。改正省令の附則により令和7年1月1日から施行)。いわゆる「ステータス管理」の義務化です。売主に交付される登録証明書(同法第34条の2第6項)から、自分の物件が今どう扱われているかを確認できます。「公開中」になっているかどうかは必ず見てください。

このあたりの背景は不動産の囲い込みとは?で詳しく解説しています。


立て直しの手順:4週間の型

原因の見当がついたら、順番に手を打ちます。いきなり値下げに飛びつかないための型です。

1週目:数字を揃える

  • 担当者から、掲載開始からの問い合わせ件数・内覧件数を出してもらう
  • レインズの登録証明書でステータスを確認する
  • 同じエリア・同じ条件で今売りに出ている物件を、自分でも10件ほど見る

2週目:見せ方を直す

  • 写真を撮り直す(晴れた日の午前中、照明はすべて点灯、水回りは片付けてから)
  • 掲載されている説明文に、管理状態・リフォーム履歴・周辺環境が書かれているか確認する
  • 間取り図に方位・階数・専有面積が入っているか確認する

ここまでは費用がほとんどかかりません。写真の差し替えだけで問い合わせが戻ることは実際にあります。

3週目:売り方を見直す

  • 媒介契約の種類が物件に合っているか考える(媒介契約はどれを選ぶ?
  • 広告の出し方、内覧の受け入れ方(土日の対応可否など)に制約がないか見直す
  • 担当者との相性が悪いと感じたら、会社の変更も選択肢に入れる

4週目:ここで初めて価格を検討する

見せ方と売り方を直しても反響が変わらないなら、価格の位置が原因である可能性が高くなります。ここで初めて価格を動かします。

値下げのタイミングと幅の考え方は不動産売却の値下げ交渉はいつ・いくら下げる?にまとめています。


価格を動かすときの計算例

価格を下げると手取りがいくら減るのか、具体的に見てみます。3,000万円で売り出している物件を5%下げて2,850万円にする場合です。

項目3,000万円のとき2,850万円のとき
売買価格3,000万円2,850万円−150万円
仲介手数料(上限・税込)105.6万円100.65万円−4.95万円
差し引き2,894.4万円2,749.35万円−145.05万円

仲介手数料の上限は「売買価格×3%+6万円+消費税10%」(400万円超の場合)で計算しています。

  • 3,000万円:3,000万円×3%+6万円=96万円、税込105.6万円
  • 2,850万円:2,850万円×3%+6万円=91.5万円、税込100.65万円

5%下げると、手数料の減少分を差し引いても約145万円が減ります。 一方で、売れないまま持ち続けると管理費・修繕積立金・毎年の税金などの維持費がかかり続けます。この2つを並べて、どこまでなら許容できるかを先に決めておくと、交渉の場で判断がぶれません。

売却全体でいくら手元に残るかは、売却手取り計算ツールで概算をつかめます。


それでも動かないときの選択肢

期限があって待てない場合は、売り方そのものを変える選択肢もあります。

  • 買取:不動産会社が直接買い取る方法。市場価格の7割前後になることが多いものの、期間が読めます(家を早く売りたい
  • リースバック:売却後もそのまま住み続ける方法(リースバックとは?
  • 一度売り止めて時期を変える:新年度前など動きが出る時期を待つ

いずれも一長一短があります。急ぐ理由がないなら、まずは価格・見せ方・売り方の3点を順番に直すほうが、結果として手取りは大きくなります。


よくある質問

Q. 何か月売れなかったら「売れていない」と判断すべきですか?

明確な基準はありませんが、掲載から3か月経っても内覧がほとんどないなら、価格か見せ方に原因があると考えたほうが現実的です。専任媒介・専属専任媒介の契約期間の上限が3か月とされているのも、この節目で見直す前提があるためです。

Q. 値下げは一度に大きく下げるのと、小刻みに下げるのとどちらがいいですか?

小刻みな値下げを何度も繰り返すと、掲載履歴に価格の下落が残り、買主に「まだ下がる」と思わせてしまいます。下げると決めたなら、次の価格帯の検索に入る水準まで一度で動かすほうが効果が出やすいと言われています。たとえば3,050万円のままだと「3,000万円以下」の検索条件に引っかかりません。

Q. 不動産会社を変えたら、また最初からやり直しになりますか?

物件情報は引き継がれますが、掲載開始日はリセットされないケースが多く、買主側からは「長く売れ残っている物件」に見え続けることがあります。会社を変えるかどうかは、担当者が動いていないことがはっきりしている場合に限るのが無難です。契約の解除については媒介契約は途中で解除できる?をご覧ください。

Q. 「そのうち相場が上がる」と言われました。待つべきですか?

国土交通省の不動産価格指数では中古マンションの価格は長期的に上昇傾向にありますが、これは全国平均の話で、個別の物件・エリアがそのとおりに動く保証はありません。むしろ築年数は毎年確実に増えます。待つ判断をするなら、「いつまで待つか」「その間の維持費はいくらか」を数字で決めてからにしてください。

Q. 査定額と売出価格は同じにすべきですか?

同じにする必要はありません。査定額は「これくらいで売れそう」という会社の意見で、売出価格を決めるのは売主です。ただし査定額から大きく離して高く出すなら、その分だけ売れるまでの期間が延びることを前提に計画してください。


売る前に、価格の幅をつかんでおきませんか

不動産売却は、売る前の準備で決まります。売り出す前に自分で数字の見当をつけておくと、会社の説明を聞いたときに判断がぶれません。

査定額は、税額や評価額を計算するためのものではありません。その物件が実際にいくらで売れそうか、価格の幅を知るためのものです。1社だけの数字では幅が見えないため、複数の会社の意見を並べて比べることをおすすめします。

※本記事の数値は執筆時点のものです。個別の事情によって結論は変わります。

売る前に、まず相場を確かめる

査定を依頼する前に自分で相場の見当をつけておくと、各社の査定額が妥当かどうかを判断できます。 国土交通省が公開している実際の取引データをもとに、町丁目別の相場を無料で公開しています。

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この記事について

本記事は、不動産売却情報メディア URUMAE 編集部が公表されている制度・法令に基づいて執筆・編集しています。制度・税率は執筆時点の情報です。個別の税務相談は税理士にご相談ください。

運営者は宅地建物取引士。不動産業界での実務経験15年。

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